PriGym | 【池袋】パーソナルジム
アルギニンの効果と副作用|筋トレでの使い方・摂取量・シトルリンとの違い
この記事の結論
・アルギニンの筋トレ単体での効果は小さめ(優先度 低)。
・軽度のEDなど血流サポートの可能性はあるが、副作用(胃腸・低血圧)や薬(特に血圧系)との飲み合わせに注意が必要。
・摂取量は1回1〜2gの少量から試し、シトルリンとの違い(体内動態)も理解して判断を。
「アルギニンを飲めば、もっと筋肉がつく?」「最近、元気が出ないけどアルギニンは試す価値ある?」
SNSや広告で目にするアルギニン。試してみたいけど、実際の効果や副作用がわからず、不安に感じていませんか。
この記事では、そんなあなたの疑問や不安をすべて解消します。
この記事は、こんな人におすすめです
- ✅ 筋トレ前にアルギニンを飲むべきか、科学的な答えが知りたい方
- ✅ 元気や活力のためにサプリを検討しているが、安全性が心配な方
- ✅ ヘルペスの既往があり、アルギニンを飲んでいいか不安な方
- ✅ シトルリンとの違いや、どちらを選ぶべきか知りたい方
- ✅ 副作用や正しい飲み方をしっかり理解してから始めたい方
第1章:そもそもアルギニンとは?体の基本を支えるアミノ酸
まずは基本から解説します。アルギニンは、私たちの体の中で3つの重要な働きをしています。
- めぐりを良くする:体内で「一酸化窒素(NO)」という物質に変わり、血管を広げて血流をサポートします[2]。
- 体をクリーンに保つ:体内で発生する有毒なアンモニアを分解する手助けをします[1, 3]。
- 体の材料になる:筋肉や皮膚、髪などを作るタンパク質の一部です[1]。
普段は体内で作られます。しかし、大きな怪我をした時など、体に強いストレスがかかると不足しがちになります。そのため、「条件付き必須アミノ酸」と呼ばれています。
第2章:アルギニンの効果は本当?期待と科学的な結論
運動パフォーマンスに関するサプリメントを検討する前に、知っておくべき大原則があります。多くの研究は小規模・短期間などの限界があり、効果は個人の条件で大きく変動します。何よりも、バランスの取れた食事と十分な水分補給が全ての基本です。サプリメントはそれを補うもの、というのが専門機関の一致した見解です[19]。
2-1. 筋トレには効く?→結論:単体では効果は小さく、優先度は低め
トレーニーなら一番気になるこの効果でしょう。しかし結論から言うと、アルギニン単体のサプリで筋肉が著しく増えるという期待はしない方が良いです。
- 期待される理屈:成長ホルモンを増やしたり、血流を良くしたりして筋肉に効く、という説があります。
- 科学的な現在地:サプリで飲む程度の量では、成長ホルモンへの影響はほぼありません。研究によっては逆に運動時の反応を鈍らせるという報告さえあります[4]。血流改善によるパフォーマンス向上効果も、研究結果にばらつきがあります(専門用語で異質性が高い、と言います)。「効く人もいれば、実感が乏しい人も多い」のが現状です[5, 6]。
あなたにとっては…筋肥大や記録更新が目的なら、まずはクレアチンや十分な炭水化物などを優先しましょう。アルギニンは「余力があれば試す程度」の位置づけが現実的です。
2-2. 活力・めぐり(EDなど)は?→結論:軽症で改善例あり。ただし効果は限定的・受診優先
- 期待される理屈:アルギニンから作られるNOの血管拡張作用が、男性の勃起不全(ED)など、血流に関わる悩みに役立つのではないかと考えられています[7]。
- 科学的な現在地:複数の研究をまとめた報告(メタ解析)によると、軽度から中等度のEDを持つ男性において、アルギニン(1日1.5〜5g程度)の摂取がプラセボ(偽薬)と比較して、国際勃起機能スコア(IIEF)などの自覚症状をわずかに改善させた(効果量は小〜中等度)とされています[7]。
- 注意点:ただし、研究の規模は小さく、期間も短いものが大半です。また、ピクノジェノールなど他の成分と併用した研究[8]も多く含まれており、アルギニン単体での効果と断定できない(交絡が強い)点にも注意が必要です。何より、EDは心血管疾患のサインかもしれません。
あなたにとっては…もしEDでお悩みなら、安易にサプリに頼る前に、まずは泌尿器科や循環器科を受診してください。根本的な原因を調べることが、あなたの将来の健康を守る最も確実な一歩です。
2-3. 美容(肌・髪)は?→結論:健康な人の美容目的は根拠不足
- 期待される理屈:コラーゲンの材料になったり、頭皮の血流を良くしたりするため、美肌や育毛に繋がるのでは、という期待です。
- 科学的な現在地:健康な人が美容目的でアルギニンを飲んだ場合の効果を証明した、信頼できる研究は現時点で見当たりません。
あなたにとっては…美肌や育毛を考えるなら、サプリに期待するより、日々の生活習慣を見直す方が、はるかに確実で効果的です。バランスの取れた食事、十分な睡眠、適切なスキンケア・ヘアケアを心がけましょう。
第3章:アルギニンの賢い使い方|量・タイミング・選び方
もしあなたがアルギニンを試すなら、どう使えば良いのでしょうか。食事からの摂取を基本に、サプリの使い方を解説します。
3-1. 食事で摂るなら?アルギニンが豊富な食品リスト
基本は食事からです。これらの食品に豊富に含まれています。
| 食品例(100gあたり) | アルギニン含有量の目安 |
|---|---|
| 鶏むね肉(皮なし) | 約 1.5 – 1.7g |
| 豚ロース(赤身) | 約 1.3 – 1.5g |
| アーモンド(いり) | 約 2.4 – 2.6g |
| ピーナッツ(いり) | 約 3.0g |
| ごま(いり) | 約 3.0g |
出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」[11]より作成
3-2. サプリはどれくらい・いつ飲む?→結論:1回1〜2gを分けて。運動30〜60分前は「試す価値あり」程度
【早わかり】飲むタイミングの結論
- 筋トレ目的:運動の30〜60分前に1〜2g。ただし体感は小さい可能性が高いです。
- 日中のめぐりサポート:1gを朝・昼など空腹時に試す。胃が不快なら食後に切り替えます。
- 就寝前:明確なメリットは不明です。無理に飲む必要はありません。
ただし、ここで紹介する「1回1〜2g」という量は、安全性を最優先した「お試し」の量です。実際の研究(運動パフォーマンスやED改善)の多くは、1日あたり3g〜8gといった、より多くの量で検証されています。
そのため、推奨する1〜2gの少量では、研究で示されるような明確な体感は得られない可能性が高いことを理解しておきましょう。
サプリで試す場合は、安全性を最優先してください。
安全な「始め方」プロトコル
- 【最初の3日間】:まず1回1g (1,000mg) を食後に1日1回だけ試します。胃腸に問題がなければ、1日2回に増やしてみます。
- 【4〜7日目】:問題なければ、運動30〜60分前に1〜2g (1,000〜2,000mg) を試します。体調の変化をメモしておきましょう。
- 【2週間で判断】:体感が全くない、または副作用が出たら中止します。少し良い感じがすれば、もう2週間続けて最終判断します。長期の漫然とした使用は避けましょう。
3-3. アルギニン vs シトルリン、どっちがいい?
【早わかり】どっちを選ぶ?
- 効率よく体内のアルギニン量を増やしたいなら → シトルリンが有利な可能性があります。
- 胃腸が弱い → どちらの場合も少量から分割して試すことが重要です。
- 結論:価格や入手しやすさで選び、体感で切り替えるのも一つの手です。
シトルリンは、体内でアルギニンに変わるアミノ酸です。人で飲んだ場合の「体内での動き」を調べた研究(薬物動態研究)でも、同じ量ならアルギニンよりシトルリンのほうが、血液中のアルギニンを長く高めやすいと示されています[12]。
これは、アルギニンが飲むと最初に肝臓で分解されやすい(初回通過効果)のに対し、シトルリンはその影響を受けにくいためです。
第4章:【最重要】副作用と安全のための注意点
アルギニンを安全に使うための知識です。必ず目を通してください。
4-1. 副作用は?→結論:胃腸症状、頭痛、低血圧に注意
一度に多量(特に9g以上)を摂取すると、副作用のリスクが高まります。
- よくある症状:吐き気、腹痛、下痢、頭痛
- その他:胃食道逆流の悪化、血圧の低下
4-2. 薬との飲み合わせは?→結論:特に血圧関連の薬は注意。自己判断せず医師に相談を
アルギニンは血管や血液に影響を与える可能性があるため、以下の薬を飲んでいる方は特に注意が必要です。摂取量が多い(高用量)ほど影響が出やすくなるため、自己判断での併用は避け、必ずかかりつけの医師や薬剤師に相談してください。
- 特に注意(併用注意)
- 硝酸薬(ニトログリセリンなど): 血管拡張作用が重複し、血圧が過度に下がるリスクがあります。
- 降圧薬(血圧を下げる薬): 薬の効果を強め、血圧が下がりすぎる可能性があります。
- 相談が必要(併用注意)
- ED治療薬(シルデナフィルなど): NO(一酸化窒素)の経路に作用が重複するため、併用により血圧が低下する可能性があります。
- 抗凝固薬・抗血小板薬(ワルファリン、アスピリンなど): 理論上、血液凝固に影響する可能性が否定できません。臨床的な証拠は乏しいですが、念のため医師への相談が推奨されます。
4-3. ヘルペス持ちは?→結論:再発しやすい人は、医師に相談するか避けるのが賢明
口唇ヘルペスや性器ヘルペスなどの症状が頻繁に再発する方は、サプリでのアルギニン摂取に注意が必要です。
- 理由:アルギニンがヘルペスウイルスの増殖を助ける可能性がある、という仮説(主に試験管レベルの研究)があるためです[13]。ヒトでの明確な因果関係は確立していません[14]が、リスクをゼロとは言えません。
- どうすべきか:不安な方や、特に再発を繰り返している方は、サプリでの摂取を避けるか、事前に主治医に相談するのが無難です。
- 食事は?:通常の食事に含まれるナッツなどを過度に恐れる必要はありません。しかし、症状が出やすい方は量や頻度に注意し、主治医に相談すると安心です。
4-4. 他に注意が必要な人は?→結論:心臓・腎臓・肝臓に持病がある方、子供や妊婦はNG
以下に当てはまる方は、サプリでの使用を避けてください。
- 心臓・腎臓・肝臓に持病がある方(特に心筋梗塞の既往がある方[17, 20])
- 低血圧の傾向がある方
- 小児・思春期の子供(成長目的での使用は根拠がありません)
- 妊娠中・授乳中の方
【重要】こんな症状が出たら即中止!受診の目安
サプリ摂取後に以下の症状が出た場合は、すぐに中止し、医療機関の受診を検討してください。
- 強い動悸、胸の痛み
- 気が遠くなる感じ、強いめまい、冷や汗
- これまでにない激しい頭痛、視覚の異常
- 発疹、じんましん、呼吸困難
第5章:よくある質問(FAQ)
原則として問題ありません。ただし、一度に多くのサプリを飲むと胃腸に負担がかかることがあります。胃腸が弱い方は時間を空けるのが無難です。筋トレ効果の優先度で言えば、一般的に「クレアチン > プロテイン > アルギニン」と考えられます。
目的によります。運動パフォーマンスへのわずかな効果を期待するなら「運動前」。血流サポートなら日中の空腹時が良いでしょう。成長ホルモン目的での「就寝前」摂取に、明確なメリットは示されていません。
上記の「試し方プロトコル」を参考に、まずは2週間試して判断するのが一つの目安です。2週間で何もポジティブな体感がなければ、一旦中止して食事やトレーニング内容を見直すことをお勧めします。
まとめ:アルギニンと賢く付き合うために
最後に、この記事の要点をまとめます。
- 筋トレ効果は小さめ。過度な期待はせず、基本の食事・トレーニング・睡眠を最優先しましょう。
- 一部の血流改善には役立つ可能性があります。しかし、まずは医療機関への相談が鉄則です。
- 安全性がいちばん大事です。副作用、薬との飲み合わせ、ヘルペスなど、注意点を必ず守りましょう。
もし試すなら、1回1gの少量から、自分の体と対話するように慎重に始めてみてください。この記事が、あなたの賢明な判断の一助となれば幸いです。
【免責事項】
この記事は情報提供を目的としたものであり、医学的なアドバイスに代わるものではありません。持病のある方、妊娠中の方、その他健康に不安のある方は、サプリメントなどを利用する前に、必ず事前に医師や管理栄養士にご相談ください。
【参考文献】
[1] 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所. 「『健康食品』の安全性・有効性情報」素材情報データベース(アルギニン項目を含む). https://hfnet.nibn.go.jp/material-infodb/
[2] Wu G, Morris SM Jr. Arginine metabolism: nitric oxide and beyond. Biochemical Journal. 1998;336(Pt 1):1–17. https://doi.org/10.1042/bj3360001
[3] Barmore W, et al. Physiology, Urea Cycle. StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2025–. 更新 2023. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK513323/
[4] Kanaley JA. Growth hormone, arginine and exercise. Current Opinion in Clinical Nutrition and Metabolic Care. 2008;11(1):50–54. https://doi.org/10.1097/MCO.0b013e3282f2b0ad
[5] Viribay A, Burgos J, Fernández-Landa J, Seco-Calvo J, Mielgo-Ayuso J. Effects of Arginine Supplementation on Athletic Performance Based on Energy Metabolism: A Systematic Review and Meta-Analysis. Nutrients. 2020;12(5):1300. https://doi.org/10.3390/nu12051300
[6] Pahlavani N, Entezari MH, Nasiri M, et al. The effect of L-arginine supplementation on athletic performance: a systematic review of randomized clinical trials. Journal of Functional Morphology and Kinesiology. 2022;7(2):33. https://doi.org/10.3390/jfmk7020033
[7] Rhim HC, Kim MS, Park YJ, et al. The Potential Role of Arginine Supplements on Erectile Dysfunction: A Systematic Review and Meta-Analysis. The Journal of Sexual Medicine. 2019;16(2):223–234. https://doi.org/10.1016/j.jsxm.2018.12.002
[8] Stanislavov R, Nikolova V. Treatment of erectile dysfunction with pycnogenol and L-arginine. Journal of Sex & Marital Therapy. 2003;29(3):207–213. https://doi.org/10.1080/00926230390155104
[9] Ellinger S. Micronutrients, Arginine, and Glutamine: Does Supplementation Provide Any Benefit in Wound Healing? Advances in Wound Care (New Rochelle). 2014;3(11):691–707. https://doi.org/10.1089/wound.2013.0482
[10] 医薬品医療機器総合機構(PMDA). 医療用医薬品の情報検索. https://www.info.pmda.go.jp/[11] 文部科学省. 日本食品標準成分表2020年版(八訂)/食品成分データベース. https://fooddb.mext.go.jp/
[12] Schwedhelm E, Maas R, Freese R, et al. Pharmacokinetic and pharmacodynamic properties of L-citrulline and L-arginine: impact on nitric oxide metabolism. British Journal of Clinical Pharmacology. 2008;65(1):51–59. https://doi.org/10.1111/j.1365-2125.2007.02990.x
[13] Griffith RS, DeLong DC, Nelson RL. Relation of arginine-lysine antagonism to herpes simplex growth in tissue culture. Chemotherapy. 1981;27(3):209–213. https://doi.org/10.1159/000237973
[14] Mailoo VJ, Rampes S. Lysine for Herpes Simplex Prophylaxis: A Review of the Evidence. Integrative Medicine (Encinitas). 2017;16(3):42–46.
[15] EFSA NDA Panel. Scientific Opinion on the substantiation of a health claim related to L-arginine and maintenance of normal heart function pursuant to Article 14 of Regulation (EC) No 1924/2006. EFSA Journal. 2011;9(4):2051. https://doi.org/10.2903/j.efsa.2011.2051
[16] Morris SM Jr. Arginine: beyond protein. The American Journal of Clinical Nutrition. 2006;83(2 Suppl):508S–512S. https://doi.org/10.1093/ajcn/83.2.508S
[17] Schulman SP, Becker LC, Kass DA, et al. L-arginine therapy in acute myocardial infarction: the VINTAGE MI randomized clinical trial. JAMA. 2006;295(1):58–64. https://doi.org/10.1001/jama.295.1.58
[18] Liu TH, Wu CL, Chiang CW, Lo YW, Tseng HF, Chang CK. No effect of short-term arginine supplementation on nitric oxide production, metabolism and performance in intermittent exercise in athletes. Journal of Nutritional Biochemistry. 2009;20(6):462–468. https://doi.org/10.1016/j.jnutbio.2008.05.005
[19] National Institutes of Health, Office of Dietary Supplements. Dietary Supplements for Exercise and Athletic Performance—Fact Sheet for Health Professionals. https://ods.od.nih.gov/factsheets/ExerciseAndAthleticPerformance-HealthProfessional/
[20] Chow SL, Bozkurt B, Baker WL, et al. Complementary and Alternative Medicines in the Management of Heart Failure: A Scientific Statement From the American Heart Association. Circulation. 2023;147(2):e4–e30. https://doi.org/10.1161/CIR.0000000000001110

