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「人工甘味料は毒」は本当?過剰な不安を解くWHO見解と最新科学の真実

スーパーやコンビニで「カロリーゼロ」「ノンシュガー」の表示を見るたび、ふと不安になることはありませんか?

「人工的に作られたものなんて、体に悪いに決まっている」「発がん性があるって聞いたことがある。やっぱり毒なのかな……」

そう感じるのは、ごく自然なことです。私たちの体は本能的に、自然界にないものを警戒するようにできているからです。さらに、ネットニュースやSNSで「危険」という言葉ばかりが目に飛び込んでくれば、怖くなって当然です。

しかし、その「恐怖」の正体は何なのでしょうか? 本当に、一口でも飲んだら体を蝕む「毒」なのでしょうか?

結論から先にお伝えすると、『ときどき飲む程度』であれば、現時点の科学的知見から「今すぐやめるべき猛毒」とは考えられていません。ただし、「水代わりに毎日たくさん飲む習慣」には注意が必要です。

この記事では、2025年11月時点までに公表されている主な国際機関の報告や査読付き論文などの科学的根拠(エビデンス)に基づき、中立的な立場で事実を整理します。単なる解説だけでなく、「具体的にどう付き合えばいいのか」という実践的な行動ガイドまで提案しますので、ぜひ最後までお読みください。

この記事でわかること

  • 「発がん性」の真実:ニュースで騒がれた「発がん性リスク」は、実際にはどの程度のレベルなのか?
  • 安全性の境界線:科学者が「これ以上は危険」と定めたラインと、私たちの摂取量の現実。
  • WHOの警告の正体:「毒だから禁止」ではなく、「条件付き」で推奨されなかった理由。
  • 不安をなくす付き合い方:あなたの「今の飲み方」を判定するチェックリストと、賢い距離感。

そもそも「人工甘味料」とは何か?

敵を知るには、まずその正体を知ることから始めましょう。「人工甘味料」とひとくくりにされがちですが、大きく3つのタイプがあり、体への影響も異なります。

1. 合成甘味料(指定添加物)

化学的に合成された甘味料です。「人工甘味料」と聞いて多くの人がイメージするのがこれでしょう。

  • 代表例: アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムK
  • 特徴: 砂糖の数百倍の甘味を持ち、カロリーはゼロです。安全性が厳しく審査された上で使用が認められています [1]。

2. 糖アルコール

「人工」と思われがちですが、自然界にも存在する成分を加工したものです。

  • 代表例: エリスリトール、キシリトール
  • 特徴: 砂糖に近い甘さを持ち、カロリーは低めです(エリスリトールは0kcal)。大量に摂るとお腹が緩くなる性質があります [1]。

3. 天然甘味料(既存添加物)

植物から甘味成分を抽出したものです。

  • 代表例: ステビア、ラカンカ(羅漢果)
  • 特徴: 植物由来ですが、添加物として管理されています [3]。

この章のポイント

  • すべてが化学合成された「怪しい粉」というわけではありません。
  • 成分表示を見て、どのタイプが入っているかを知ることが、不安解消の第一歩です。

【検証】人工甘味料は本当に危険?発がん性・「毒」イメージと安全性の実際

あなたが最も不安に感じているのは、「発がん性」や「危険性」ではないでしょうか。2023年7月、WHO(世界保健機関)の研究機関であるIARCが、アスパルテームを「ヒトに対して発がん性がある可能性がある(グループ2B)」に分類しました [6]。

「やっぱり毒だったんだ!」と思ったかもしれません。しかし、科学的な意味合いは少し違います。

「グループ2B」の本当の意味

この分類は「発がん性の強さ」ではなく、「証拠の強さ」を示しています。「グループ2B」には、以下のようなものも含まれています。

  • 漬物(アジアの伝統的なもの)
  • アロエベラ全葉エキス
  • わらび

これらを食べたからといって、すぐにがんになるとは誰も思いませんよね。アスパルテームも同様に、「限定的な証拠はあるが、人間での発がんは証明されていない」というレベルなのです [2][6]。

「毒」になるのはどれくらいの量?

ここが重要なポイントです。IARCが「可能性」を指摘した一方で、実際に「どれくらい食べていいか」を決める専門機関(JECFA)は、「今の基準を変える必要はない(=今の基準内なら安全)」という評価を変えていません。

その国際的な専門家会議(JECFA)が定めた「一日摂取許容量(ADI)」は、「毎日一生とり続けても問題ないと考えられる上限量」のことで、体重1kgあたり40mgと設定されています [6]。

【体重60kgの人が毎日飲み続けても安全とされる量】

  • ダイエット炭酸飲料(350ml缶):毎日 約13缶
    (※1缶に多めに見積もって約180mg含まれると仮定)

一般的な日本人の食生活において、この許容量に近づくことは極めて稀であると報告されています [2]。

そのため、とくに健康な成人であれば「たまにジュースを1本飲んだ程度」で体が毒に侵されると心配する必要性は、現時点の科学的知見からは高くないと考えられます。

一方で、糖尿病や心血管疾患などで治療中の方は、飲み物の選び方も治療全体の一部になるため、自己判断で大きく変える前に主治医と相談するのが安全です。

この章のポイント

  • 「発がん性グループ2B」は、漬物やアロエと同じレベルの分類。
  • 通常の日本人の食生活で、危険な量(ADI)に達することは現実的に考えにくい。
  • 過剰な恐怖心を抱く必要はありません。

【重要】なぜWHOは人工甘味料を「推奨せず」としたのか?ダイエット効果と健康リスク

「でも、WHOは使うなと言いましたよね? やっぱり体に悪いのでは?」鋭い指摘です。2023年のWHOガイドラインでは、体重管理や生活習慣病(非感染性疾患)リスクの低減を目的とした非糖甘味料の使用は推奨しないとされています [4]。

少し難しい話に聞こえるかもしれませんが、要点をまとめると「毒だから禁止」という意味ではありません。

【WHOガイドラインの要点 3行まとめ】

  1. 「毒だから禁止」という命令ではない(条件付きの推奨)。
  2. 「これを飲めば痩せる」というダイエット効果は確認できなかった。
  3. 「長期間、毎日飲み続ける」と、将来的に病気のリスクが上がる可能性が否定できない。

なぜそう言われているのか、理由は大きく2つあります。

理由1:ダイエット効果が確認できなかった

WHOが多くの研究(システマティックレビュー)を分析した結果、「短期的には体重が減るかもしれないが、長期的には体脂肪を減らす効果が見られない」という結論に至りました [4][5]。「魔法の痩せ薬」のような効果を期待しても、意味がないということです。

理由2:長期的な健康リスクの懸念

長期間(数年〜数十年)にわたって使い続けた場合、2型糖尿病や心血管疾患のリスクが高まる可能性が示唆されました [4][9]。

ただし、これらは主に「観察研究(生活を“観察”して、あとから関連を調べる研究)」に基づく結果であり、因果関係(甘味料のせいで病気になったのか)までは確定していません。

「太りやすい習慣のある人が、甘味料を選んで飲んでいた」という可能性も残っています。

つまり、現時点の科学的な温度感は、「人工甘味料のせいと決まったわけではないが、たくさんとり続けるメリットもなさそうなので、常用はおすすめしない」というイメージです。

【盲点】カロリーゼロでも太る?脳が錯覚する「甘味依存」のメカニズム

毒性の話よりも、実はもっと身近で切実なリスクがあります。それが「甘味依存(マイルドドラッグ)」の問題です。「カロリーゼロだから大丈夫」と思って飲んでいるのに、なぜか痩せない。その原因については、以下のようなメカニズムが議論されています。

1. 脳の「報酬系」を刺激してしまう

砂糖を摂ると、脳内でドーパミンという快楽物質が出て「幸せ」を感じます(報酬系)。人工甘味料もまた、強い甘みによってこの報酬系を刺激します。カロリーはゼロでも、脳は「もっと甘いものが欲しい!」という快楽の回路を強化してしまい、結果として「甘いものへの欲求」が消えにくくなる可能性が指摘されています。

2. 「甘いのにエネルギーが来ない」という混乱(仮説)

通常、甘いものを食べると血糖値が上がり、脳は「エネルギーが入ってきたから満足だ」と判断します。しかし、人工甘味料は「甘いのにエネルギー(糖)が入ってこない」ため、脳が混乱してしまうという仮説があります。一部の研究では、脳が不足分のエネルギーを補おうと「もっと食べろ!」と指令を出し、かえって食欲が増してしまう可能性も示唆されています(※ただし、この影響には個人差があり、全ての研究で確認されているわけではありません)。

3. 「甘さ」に対する感覚が麻痺する

人工甘味料は砂糖の数百倍という強烈な甘みを持ちます。これに慣れてしまうと、果物や野菜の自然な甘みが「薄い」「物足りない」と感じるようになります(味覚の鈍化)。結果として、より味の濃いものや甘いお菓子を求めてしまう……という悪循環に陥りやすくなります。

この章のポイント

  • 毒性がなくても、「甘いものを欲する脳のクセ」が治らなければダイエットは成功しない。
  • 「カロリーゼロだから」と飲み続けることは、甘味への依存を長引かせる可能性がある。

最新の研究:腸内環境・心血管・脳への影響

さらに最近の研究では、以下のリスクも議論されています。※これらもまだ「研究段階」の話であり、すぐに全員に当てはまるわけではありませんので、落ち着いて読んでくださいね。

  • 腸内環境の変化: 一部の人工甘味料が腸内細菌のバランスを変化させ、その結果として血糖値を下げにくくしてしまう可能性が、主にサッカリンなどを対象とした小規模な動物実験や短期のヒト試験(Suezら, 2014 [7])で報告されています。
  • 血栓のリスク: 一部の研究では、もともと心血管リスクの高い人を対象にした解析で、血中のエリスリトール濃度が高いほど心血管イベント(心臓発作など)が起こりやすいという関連が報告されています(Witkowskiら, 2023 [8])。ただし、観察研究や小規模な介入研究に基づく結果であり、「エリスリトールの摂取が直接の原因である」とまでは現時点では断定できません。
  • 脳(認知機能)への影響: 2017年の米国の研究(フラミンガム研究)などで、人工甘味料入り飲料の摂取が多いと脳卒中や認知症のリスクが高まる関連が報告されています [10]。ただし、これも「因果関係」は不明確で、もともとの生活習慣や血管の健康状態の影響が大きい可能性が指摘されています。

これらはまだ研究段階ですが、「カロリーゼロなら水と同じで無害」と考えるのは楽観的すぎる、というのが現在の科学の見解です。

とはいえ、日常的な量であれば「今すぐやめなければ危険」というレベルではないことも、合わせて押さえておきましょう。

リスクだけじゃない? 知っておきたい「メリット」

ここまでリスクや注意点について詳しくお話ししましたが、人工甘味料には私たちの生活を助けてくれる明確なメリットも存在します。すべてを「悪」と決めつける前に、プラスの側面も知っておきましょう。

  • 病気の方の心強い味方:
    糖尿病などで厳密な血糖コントロールが必要な方にとって、血糖値を上げずに甘みを楽しめる人工甘味料は、食事療法を続けるための重要なツールです(WHOガイドラインでも、糖尿病患者の方は推奨の対象外とされています)[4]。
  • 安価で経済的:
    砂糖の数百倍の甘みを持つため、ごく少量で十分な甘さを出せます。製造コストが抑えられる分、私たちは甘くておいしい食品や飲料を手頃な価格で楽しむことができます。
  • 虫歯になりにくい:
    キシリトールなど一部の甘味料は、虫歯の原因となる酸を作らないため、歯の健康維持に役立ちます [1]。

【保存版】一目でわかる!主な人工甘味料のリスクと付き合い方まとめ

ここまでの内容を、成分表示でよく見かける甘味料ごとに表にまとめました。「この飲み物に入っているコレ、大丈夫かな?」と迷った時の参考にしてください。

甘味料名分類気になるニュース・研究報告
(エビデンスの状況)
専門家の見解・付き合い方
アスパルテーム合成発がん性(IARC 2B)
頭痛・認知機能への懸念
※証拠は限定的だが、感受性の高い人や大量摂取者で議論あり
通常の量なら安全性に問題はないとされる。
過剰摂取(毎日何本も飲む)は控える。
飲んで頭痛がする人は無理せず避ける。
サッカリン合成腸内環境への影響・過去の発がん性疑惑
※発がん性は否定されたが、腸内細菌叢への影響が研究されている
かつて疑われた発がん性は現在否定されている。
日本では漬物や歯磨き粉などで使用。大量摂取は控える。
スクラロース
アセスルファムK
合成腸内環境・耐糖能への影響
※動物実験や小規模研究での報告が中心
まだ研究段階だが、お腹の調子が気になる人は様子を見ながら摂取を。
複数の甘味料が併用されることが多い。
ネオテーム
アドバンテーム
合成新しい高甘味度甘味料
※アスパルテームの改良型。少量で済むため使用拡大中
使用量が極めて少ないため、現時点で大きなリスク報告は少ない。
新しい成分のため、今後の研究を注視。
エリスリトール糖アルコール心血管イベントとの関連
※高リスク者での観察研究による報告
天然由来で安心感はあるが、心臓や血管に持病がある方は特に注意が必要
大量摂取でお腹が緩くなる点も注意。
キシリトール
ソルビトール
糖アルコール消化器症状(お腹が緩くなる)
※一度に多量摂取すると下痢を起こしやすい
虫歯予防(キシリトール)などのメリットもある。
ガムやお菓子での食べ過ぎに注意。
ステビア
ラカンカ(羅漢果)
天然由来長期的な健康影響(WHO NSS)
※人工甘味料全体としての長期リスクの懸念
植物由来で比較的イメージは良いが、これなら幾らでも摂っていいわけではない。
「甘味依存」を防ぐ意識は必要。

※表の見方と注意点:この表は2025年11月時点の科学的知見に基づいています。「リスクあり=危険」ではなく、「研究で懸念が示されているが、通常の量なら直ちに問題はない」という温度感で捉えてください。

あなたの「距離感」は大丈夫?緊急チェック

ここまで読んで、「直ちに危険ではないけれど、あえて積極的に摂るものでもない」ということがお分かりいただけたかと思います。では、あなたは今、どう行動すべきでしょうか? 以下のリストでチェックしてみましょう。

【距離感チェックリスト】もし1つでも当てはまるなら、この後の「賢い距離感」を参考に、少し飲み方を見直すのがおすすめです。

  • □ 週に3日以上、ダイエット飲料を「水代わり」に飲んでいる
  • □ 甘い飲み物をゼロにするのは無理(ストレス)だと感じる
  • □ お腹がゆるくなることがあるのに、そのまま飲み続けている

不安をなくす「人工甘味料との賢い距離感」3つの提案(ゼロカロリー飲料の付き合い方)

「毒だ!」とパニックになるのも、「魔法の食品だ!」と盲信するのも間違いです。大切なのは、「必要以上に怖がらず、でも頼りすぎない」という冷静な距離感です。

1. 「ゼロ」を水代わりにしない

これが最も大切です。日常の水分補給と、嗜好品(お楽しみ)を明確に分けましょう。以下の表を参考に、あなたの今の飲み方がどのパターンに当てはまるか確認してみてください。

【パターン別:おすすめの次の一歩】

今のあなたのパターンリスクのイメージおすすめの次の一歩
たまに飲む程度
(週1本未満)
現時点では過剰な心配は不要「ご褒美」として楽しみつつ、水・お茶を基本に続ける
ほぼ毎日1本飲んでいるADIから見て直ちに危険とは言えないが、習慣化には注意「水・お茶の日」を週に1〜2日増やしてみる
水代わりに何本も飲んでいる長期的な健康リスクの懸念が増えるゾーン「本数を半分にする」「一部を水やお茶に置き換える」など、段階的に減らす計画を立てる

【シーン別:飲み物の選び方】

シーンおすすめの飲み物人工甘味料の位置づけ
日常の水分補給
(喉の渇き)
水、麦茶、無糖のコーヒー・紅茶基本は使わない
甘いものが欲しい時
(お楽しみ)
ダイエット飲料 or 少量の砂糖入り「お菓子」として楽しむ
砂糖依存からの脱却
(一時的な移行)
砂糖ジュース → ダイエット飲料一時的な「架け橋」として活用

2. 砂糖依存からの「脱出用ツール」として使う

もしあなたが今、砂糖たっぷりのジュースを毎日飲んでいるなら、それは人工甘味料よりも明確な健康リスク(肥満、糖尿病)です。いきなり水にするのが辛ければ、「一時的な避難場所」として人工甘味料を利用し、徐々に甘味自体を減らしていくのが賢い戦略です。

3. 自分の体質と相談する

お腹が緩くなりやすい人は糖アルコール(エリスリトールなど)を避けるなど、体の反応を見ながら選びましょう。特に妊娠中の方や小さなお子様は、念のため自然な食材を優先することをお勧めします。

よくある質問(FAQ)

Q. 毎日1本飲んでいますが、すぐにやめた方がいいですか?

A. 一般的な健康な成人であれば、今すぐ完全に「ゼロ」にする必要はありません。ですが、「水やお茶の日」を少しずつ増やしていくのがおすすめです。「平日は水・お茶、週末だけダイエットコーラ」といった、自分なりの“ゆるいルール”から始めてみましょう。すでに糖尿病や心血管疾患などで治療中の方は、飲み物の内容も治療方針に関わる場合があるため、自己判断で大きく変える前に主治医に相談してみてください。

Q. 飲むと頭痛がする気がするのですが…。

A. 無理して飲む必要はありません。科学的な決着は完全にはついていませんが、アスパルテームなどで頭痛を感じる「感受性の高い人」がいる可能性は複数の研究で指摘されています。「飲むと調子が悪いな」と感じる自分の感覚を信じて、その食品を避けるのが一番の安全策です。

Q. 「砂糖入りジュース」と「ゼロカロリー飲料」、どちらがマシですか?

A. 毎日ガブガブ飲むなら、どちらもおすすめできません。砂糖の摂りすぎは肥満や糖尿病の直接的な原因になりますし、ゼロカロリー飲料の常用も長期的なリスクが懸念されています。もし今、砂糖入りをたくさん飲んでいるなら、「まずゼロ飲料に切り替える → 徐々に水やお茶を増やす」というステップダウンが現実的です。すでにゼロ飲料をたまに飲む程度なら、「水やお茶の日を少し増やす」くらいの調整で十分です。

Q. コーヒーや紅茶に入れる甘味料も同じですか?

A. 基本的な考え方は同じです。1日何杯も飲んでいる場合は、「総量」と「頻度」を意識しましょう。「まずは1杯だけ砂糖や人工甘味料を使い、残りは無糖にする」「スティックの量を半分にする」など、少しずつ“甘さそのもの”を減らしていくのがおすすめです。

Q. 妊娠中や子供に飲ませても大丈夫?

A. 念のため、控えめにすることをおすすめします。安全性試験はクリアしていますが、味覚形成の時期であることや、長期的な影響が未解明な部分もあるため、基本的には自然な食材や水・お茶を優先するのが安心です。

まとめ:知識は「恐怖」を「安心」に変える

人工甘味料は、決して私たちを狙う「猛毒」ではありません。しかし、手放しで賞賛できる「完全無欠の健康食品」でもありません。また、アスパルテームやエリスリトールなど、甘味料の種類によって研究の蓄積や示されているリスクの内容が少しずつ異なる点にも注意が必要です。

「毒かもしれない」と怯えながら飲むのは、精神衛生上よくありません。「たまに楽しむ分には問題ない。でも、毎日の習慣にはしない」このシンプルな事実を知っているだけで、コンビニで商品を選ぶときの気持ちがずっと楽になるはずです。

今日から、飲み物は「基本は水かお茶」にし、甘い飲み物は「心のご褒美」として大切に味わってみませんか?その適度な距離感こそが、あなたの健康を守る一番の盾になります。


免責事項

この記事は情報提供を目的としたものであり、医学的なアドバイスに代わるものではありません。持病のある方、妊娠中の方、その他健康に不安のある方は、必ず事前に医師や管理栄養士にご相談ください。

参考文献リスト:

  1. 厚生労働省. 食品添加物 [インターネット]. 東京: 厚生労働省; [引用日 2025年11月21日].
    URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuten/index.html
  2. 食品安全委員会. アスパルテームに関するQ&A [インターネット]. 東京: 内閣府食品安全委員会; 2023 [引用日 2025年11月21日].
    URL: https://www.fsc.go.jp/foodsafetyinfo_map/aspartame.html
  3. 厚生労働省. 既存添加物名簿 [インターネット]. 東京: 厚生労働省; [引用日 2025年11月21日].
    URL: https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=78332210&dataType=0&pageNo=1
  4. World Health Organization. Use of non-sugar sweeteners: WHO guideline [Internet]. Geneva: World Health Organization; 2023 [cited 2025 Nov 21].
    URL: https://www.who.int/publications/i/item/9789240073616
  5. Rios-Leyvraz M, Montez J. Health effects of the use of non-sugar sweeteners: a systematic review and meta-analysis. Geneva: World Health Organization; 2022. License: CC BY-NC-SA 3.0 IGO.
    URL: https://www.who.int/publications/i/item/9789240046429
  6. International Agency for Research on Cancer (IARC) / World Health Organization (WHO). Aspartame hazard and risk assessment results released [Internet]. Lyon/Geneva: IARC/WHO; 2023 Jul 14 [cited 2025 Nov 21].
    URL: https://www.iarc.who.int/news-events/aspartame-hazard-and-risk-assessment-results-released/
  7. Suez J, Korem T, Zeevi D, Zilberman-Schapira G, Thaiss CA, Maza O, et al. Artificial sweeteners induce glucose intolerance by altering the gut microbiota. Nature. 2014;514(7521):181-6.
    DOI: 10.1038/nature13793
    PMID: 25231862
    URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25231862/
  8. Witkowski M, Nemet I, Alamri H, Wilcox J, Gupta N, Nimer N, et al. The artificial sweetener erythritol and cardiovascular event risk. Nat Med. 2023;29(3):710-718.
    DOI: 10.1038/s41591-023-02223-9
    PMID: 36849732
    URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36849732/
  9. Debras C, Chazelas E, Sellem L, Porcher R, Druesne-Pecollo N, Esseddik Y, et al. Artificial sweeteners and risk of cardiovascular diseases: results from the prospective NutriNet-Santé cohort. BMJ. 2022;378:e071204.
    DOI: 10.1136/bmj-2022-071204
    PMID: 36638072
    URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36638072/
  10. Pase MP, Himali JJ, Beiser AS, et al. Sugar- and Artificially Sweetened Beverages and the Risks of Incident Stroke and Dementia. Stroke. 2017;48(5):1139-1146.
    DOI: 10.1161/STROKEAHA.116.016027
    PMID: 28428346
    URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28428346/
末岡 啓吾

末岡 啓吾

パーソナルトレーニングジム「PriGym」代表トレーナー。
博士(理学)・NSCA認定トレーナー・パワーリフティング元日本記録保持者。
科学と実践の両軸で、一人ひとりの成長を支えます。