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ビオチンを効率良く摂取!おすすめの食べ物・食材

ビオチン(ビタミンB7)は、皮膚・粘膜の健康維持に関与し、補酵素としてエネルギー代謝に必須の水溶性ビタミンです。本稿では日本食品標準成分表(八訂)増補2023年版および日本人の食事摂取基準(2025年版)に準拠し、「どの食品を、実際にどれだけ食べれば良いか」を実践的に示します。

形態(生/乾/いり/缶詰など)により値は大きく変わります。表では食品名の後に形態を併記しています。

関連の基礎知識(作用・効果・サプリの注意点など)は、以下をご参照ください。

ビオチン50 µg/日を摂る「1食分」の現実的目安

成人の1日の摂取目安量(AI)は50 µg/日(妊娠・授乳も同値)です。100 gあたりの含有量だけでは実食のイメージが湧きにくいため、主要な高含有食品を現実的な1食分に換算しました。

食品名(形態)1食分の目安ビオチン(1食分)
鶏レバー(生)50 g(ソテー等)約115 µg
乾まいたけ(乾)10 g(味噌汁・煮物)約24 µg
落花生(いり)30 g(ひとつかみ)約33 µg
全卵(生)1個=約50 g約12 µg
納豆(糸引き)1パック=40 g約7.3 µg

【50 µg達成の組み合わせ例】

  • しっかり摂る日: 鶏レバー50 g(約115 µg)にします。
  • 朝食でコツコツ: 納豆40 g(7.3 µg)+全卵1個(12 µg)=19.3 µgです。
  • おやつ・つまみで: 落花生30 g(33 µg)+ヨーグルト100 g(約2.5 µg)=約35.5 µgになります。
  • 汁物で底上げ: 乾まいたけ10 g(24 µg)+油揚げ20 g(約1.4 µg)=約25.4 µgになります。

ポイント: 鶏レバーは突出して多い一方で、落花生・乾まいたけ・卵・納豆の組み合わせでも無理なく到達できます。

ビオチン含有量ランキングTop10(100 gあたり)

乾物やレバー類が上位を占めます。形態(生/乾/いり 等)で値が大きく変わる点にご注意ください。

順位食品名(形態)ビオチン(µg/100 g)
1位乾まいたけ(乾)240
2位鶏レバー(生)230
3位落花生(いり)110
4位落花生(乾)92
5位豚レバー(生)80
6位牛レバー(生)76
7位卵黄(生)65
8位乾しいたけ(乾)41
9位きな粉(全粒大豆)31
10位全卵(生)24

出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023

ビオチンを多く含む食品・食材(カテゴリー別)

出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023に基づいて記載します。

1. 肉類(特にレバー)

食品名(形態)ビオチン(µg/100 g)
鶏レバー(生)230
豚レバー(生)80
牛レバー(生)76
豚ハツ(生)29

レバーはビタミンA・鉄も非常に豊富です。妊娠中はビタミンA過剰にご注意ください(例:豚レバー100 gにレチノール約13,000 µgとされます)。少量(例:30–50 g)からの利用をおすすめします。

2. 卵類

食品名(形態)ビオチン(µg/100 g)
卵黄(生)65
全卵(生)24

重要: 卵のビオチンを活かすには加熱が基本です(後述「生卵白(アビジン)は避ける」をご参照ください)。

3. ナッツ類・大豆製品

食品名(形態)ビオチン(µg/100 g)
落花生(いり)110
落花生(乾)92
きな粉(全粒大豆)31
納豆(糸引き)18.2
油揚げ(生)7.1
絹ごし豆腐(生)3.5

一般的な成分表の形態ではアーモンド・くるみのビオチンは未収載または微量です。効率面では落花生が実用的です。

4. きのこ類(特に「乾まいたけ」)

食品名(形態)ビオチン(µg/100 g)
乾まいたけ(乾)240
乾しいたけ(乾)41
えのきだけ(生)11
ぶなしめじ(生)8.7

「干ししいたけ」より乾まいたけが突出しています。戻さず使える商品もあり、汁物での活用が効率的です。

5. 魚介類(※缶詰のビオチン値は未収載が多い)

食品名(形態)ビオチン(µg/100 g)
まだい(養殖・生)7.7
ぶり(成魚・生)7.7
はまち(養殖・生)6.4

注: さば・いわしの缶詰(水煮)はビオチン項目が“—”(未収載)です。缶詰はDHA/EPAの点では優れますが、ビオチン量は不明として扱います。

6. 乳製品

食品名(形態)ビオチン(µg/100 g)
ヨーグルト(全脂無糖)約2.5
牛乳(普通牛乳)約1.8
チーズ(チェダー)2.7

量は多くありませんが日常的に摂りやすい食品群です。他の食品と組み合わせて総量を底上げしましょう。

コンビニや外食でビオチンを摂るコツ

コンビニでは

  • 焼き鳥(レバー):最優先です。加熱済みで扱いやすいです。
  • 納豆巻き・納豆:手軽なビオチン源です。
  • ゆで卵・煮卵:加熱済みでアビジン問題を回避できます。
  • ピーナッツ(いり):間食で効率的に摂れます。
  • 魚缶(さば・いわし等):ビオチン量は未収載ですが、脂質栄養面では有益です。

外食では

  • 居酒屋:焼き鳥のレバー(鶏・豚)を選びます。
  • 定食屋レバニラ炒め/納豆定食がおすすめです。
  • 中華レバー炒めを活用します。

ビオチンの摂取目安と安全性(妊娠・サプリ)

1日の摂取目安量(AI)

  • **厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2025年版)』**では、成人のAI=50 µg/日(妊娠・授乳も同値)と示されています。腸内細菌による合成も一部ありますが、基本は食事からの摂取が前提です。

妊娠・授乳

  • 目安量は50 µg/日で同じです。妊娠中は代謝変化が示唆されるため、不足しないようレバー・卵・大豆・ナッツ等をバランス良く取り入れてください。ただしレバーのビタミンA過剰には注意し、少量を適度に召し上がることをおすすめします。

不足と過剰

  • 不足時:皮膚炎、脱毛、食欲不振、疲労などが報告されています。偏食、長期抗生物質の使用、生卵白の習慣摂取でリスクが高まります。
  • 過剰時:水溶性で尿中に排泄されやすく、耐容上限量(UL)は設定されていません。ただし**高用量サプリ(mg単位)**は別問題ですので、次項にご注意ください。

サプリの重要な注意点(臨床検査への干渉)

  • 多くの免疫測定法はストレプトアビジン‐ビオチン法を使用しています。血中ビオチンが高濃度だと偽低/偽高の結果を招くおそれがあります。
  • 採血前には、高用量のビオチンサプリを摂っている旨を必ず申告してください(例:甲状腺ホルモン、トロポニン等の検査)。
  • 栄養機能食品(日本)の規格基準では、ビオチン 15~500 µg/日が表示の目安です。

ビオチンを効率良く摂る「調理・食べ方」のコツ

最大の注意点:生卵白(アビジン)は避ける

  • 生卵白のアビジンはビオチンと強固に結合し、吸収を阻害します。
  • 加熱で失活しますので、卵はゆで/焼き/炒めなど加熱して召し上がることをおすすめします。
  • 例:卵かけご飯や生卵を毎日・大量に続けることは推奨しません(適量・頻度であれば問題になりにくいです)。

熱には比較的安定/水への溶出に注意

  • ビオチンは比較的熱安定です。損失は主にゆでこぼし等の溶出が要因と考えられます。
  • おすすめの調理は、次のとおりです。
    1. 汁ごと食べる(味噌汁・スープ・煮物)ようにします。
    2. 蒸す・電子レンジ調理で、水への流出を抑えます。
    3. 短時間の炒め・焼きで、過度な流出を避けます。

参考文献

[1] 文部科学省. 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年版:食品成分データベース. https://fooddb.mext.go.jp/

[2] 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2025年版)策定に当たってのポイント. https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001396865.pdf

[3] 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所. 「健康食品」の安全性・有効性情報:ビオチン. https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail10.html

[4] National Institutes of Health, Office of Dietary Supplements. Biotin: Fact Sheet for Health Professionals. https://ods.od.nih.gov/factsheets/Biotin-HealthProfessional/

[5] U.S. Food and Drug Administration. Biotin Interference with Troponin Lab Tests – Assays Subject to Biotin Interference. https://www.fda.gov/medical-devices/in-vitro-diagnostics/biotin-interference-troponin-lab-tests-assays-subject-biotin-interference

[6] 消費者庁. 栄養機能食品(表示の上限・下限一例)— ビオチン 15~500 µg/日. https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/assets/food_labeling_cms206_250403_13.pdf

免責事項

本記事は公的データに基づく栄養情報の提供を目的としています。個々の健康状態や治療方針については、必ず医療専門職にご相談ください。

末岡 啓吾

末岡 啓吾

パーソナルトレーニングジム「PriGym」代表トレーナー。
博士(理学)・NSCA認定トレーナー・パワーリフティング元日本記録保持者。
科学と実践の両軸で、一人ひとりの成長を支えます。