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卵は「完全栄養食」って本当?ダイエット・筋トレ効果と1日の摂取量の正解
なぜ卵は「完全栄養食」と呼ばれるのか?その真価|完全栄養食 卵
「完全栄養食」という言葉はよく聞きますが、具体的に何が「完全」なのでしょうか? アミノ酸スコア100の食材は他にもありますが、卵には他にはない特別な強みがあります。
1. アミノ酸スコア100+「利用効率」の高さ
卵は、ヒトの体内で合成できない9種類の「必須アミノ酸」が、すべてバランスよく十分な量含まれている「アミノ酸スコア100」の食材です。さらに重要なのは、その「体内利用効率(正味タンパク質利用率)」の高さです。卵のタンパク質は人体に近いアミノ酸構成を持っているため、摂取したタンパク質が体に無駄なく使われやすいという特徴があります[1][2]。
2. 小さなカプセルに詰まった「栄養密度」
卵が他のタンパク源(肉や魚)と一線を画すのは、わずか約80kcal(Mサイズ1個)の中に、ビタミンCと食物繊維を除くほぼすべてのビタミン・ミネラルが含まれている点です。
実際に、卵1個(Mサイズ)で1日に必要な栄養素をどれくらいカバーできるのか、主要な項目をピックアップしました。
【表:卵1個(Mサイズ)の主要栄養素トップ5】※30〜49歳女性(身体活動レベルⅡ)の推奨量・目安量を基準に算出[1][6]
| 栄養素 | 含有量 | 充足率 | 主な働き |
|---|---|---|---|
| セレン | 12 μg | 48% | 強力な抗酸化作用(アンチエイジング) |
| ビオチン | 12.7 μg | 25% | 皮膚・髪・爪の健康維持 |
| ビタミンB12 | 0.6 μg | 25% | 血液生成、神経機能の維持 |
| ビタミンD | 1.9 μg | 22% | カルシウム吸収、免疫機能 |
| タンパク質 | 6.2 g | 12% | 筋肉・肌・髪の材料 |
クリックして「全成分(30項目)」を見る
【表:卵1個の全栄養成分と充足率リスト】
| カテゴリ | 栄養素 | 含有量 | 充足率 |
|---|---|---|---|
| 三大栄養素 | 脂質 | 5.2 g | 8〜11% |
| 炭水化物 | 0.2 g | 0% | |
| ビタミン | ビタミンB2 | 0.22 mg | 18% |
| ビタミンA | 105 μg | 16% | |
| パントテン酸 | 0.73 mg | 15% | |
| ビタミンE | 0.7 mg | 13% | |
| 葉酸 | 22 μg | 9% | |
| ビタミンK | 7 μg | 5% | |
| ビタミンB6 | 0.04 mg | 4% | |
| ビタミンB1 | 0.03 mg | 3% | |
| ナイアシン | 0.1 mg | 1% | |
| ビタミンC | 0 mg | 0% | |
| ミネラル | モリブデン | 3 μg | 15% |
| ヨウ素 | 17 μg | 13% | |
| リン | 90 mg | 11% | |
| 亜鉛 | 0.7 mg | 9% | |
| 鉄 | 0.9 mg | 8% | |
| カルシウム | 26 mg | 4% | |
| カリウム | 65 mg | 3% | |
| マグネシウム | 6 mg | 2% | |
| その他 | 食物繊維 | 0 g | 0% |
この表からわかる通り、卵は単なるタンパク質源ではありません。特に注目すべきは、「ビタミンB群」と「抗酸化ミネラル」の豊富さです。これらは代謝やアンチエイジングに欠かせない栄養素であり、これらをサプリメントではなく自然な食品からバランスよく摂れる点が、卵が「完全」と呼ばれる所以です。
一方で、詳細リストにある通りビタミンCと食物繊維は「0」です。ここを野菜で補うことの重要性が、より明確に理解できるはずです。
この章のポイント
- アミノ酸スコア100に加え、体内での利用効率が非常に高い。
- ビタミンD、B群、セレンなど、代謝と美容に関わる栄養素が1個で15〜48%も摂取できる。
- 明確に欠けている「ビタミンC」と「食物繊維」を意識的に補う必要がある。
卵が「痩せる体」を作る科学的理由|卵 ダイエット
「卵を食べると太る」というイメージは過去のものです。最新の研究では、卵は適切に取り入れることでダイエットの強い味方となる可能性が示唆されています。
プロテインだけじゃない!「食欲抑制」と「代謝アップ」
卵には、ダイエットをサポートする2つの生理学的メカニズムがあります。
- 満腹感の持続(Satiety):
ある研究(RCT)によると、朝食にベーグル(炭水化物中心)を食べたグループと比較して、卵を食べたグループは満腹感が持続し、その後の食事でのエネルギー摂取量が抑制されたという報告があります[3]。 - 食事誘発性熱産生(DIT):
タンパク質は、糖質や脂質に比べて消化吸収に使われるエネルギー(熱)が多く、食べただけで代謝が高まります。卵は高タンパクであるため、この代謝アップ効果が期待できます。
筋トレ民必見!筋肉合成スイッチ「mTOR」
卵に含まれる必須アミノ酸の中でも、特に「ロイシン」が豊富です(100gあたり約1,000mg)。ロイシンは、筋肉を作る細胞内のスイッチである「mTOR(エムトール)」を活性化させる働きがあります[4]。運動後に卵を摂取することは、傷ついた筋肉を修復し、基礎代謝の高い「痩せやすい体」を作るために理にかなっています。
この章のポイント
- 朝食の卵は満腹感を持続させ、1日の総摂取カロリーを減らす可能性がある[3]。
- 豊富なロイシンが筋肉合成のスイッチを入れ、代謝維持をサポートする[4]。
肌と髪を整える卵の隠れた栄養素|ビオチン 効果
卵の魅力は筋肉だけではありません。美容に関心の高い方にとっても、卵は「食べる美容液」となり得ます。
美髪・美肌を作る「ビオチン」と「亜鉛」
卵黄には、ビタミンB群の一種である「ビオチン」が含まれています。ビオチンは皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素として知られ、不足すると皮膚炎や脱毛の原因になる可能性があります[5]。また、新しい細胞を作るために必須のミネラルである「亜鉛」も含まれており、肌のターンオーバーを正常に保つサポートをします[1]。
髪の主成分「ケラチン」の材料を補給
髪や爪の主成分は「ケラチン」というタンパク質です。ケラチンを合成するには、硫黄を含んだアミノ酸(含硫アミノ酸:メチオニン、シスチン)が必要です。植物性タンパク質(大豆など)にはこれらのアミノ酸が不足しがちですが、卵には豊富に含まれています。大豆製品と卵を組み合わせることで、より強くて美しい髪や爪を目指すことができます。
この章のポイント
- 卵黄に含まれる「ビオチン」は、皮膚や髪の健康維持に役立つ[5]。
- 髪の材料となる「含硫アミノ酸」が豊富で、大豆製品との相性が良い。
「卵は1日1個まで」は嘘?コレステロールの真実|卵 コレステロール
「卵が好きだけど、コレステロールが心配で控えている」という声は依然として多く聞かれます。ここでは、厚生労働省の最新基準に基づいて、その誤解を解きます。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」の見解
結論から言うと、健康な人(脂質異常症などのリスクがない人)において、食事からのコレステロール摂取量に「上限」は設定されていません。これは、食事から摂るコレステロール量と、血中のコレステロール値の間に、明確な相関関係を示す十分な科学的根拠が見つからなかったためです[6]。体内のコレステロールの多くは肝臓で作られており、食事の影響は以前考えられていたほど大きくないことが分かってきています。
安心して食べられる目安「1日何個まで?」
では、具体的に何個食べてよいのでしょうか?
- 健康な方:
大規模な追跡調査を含む研究では、少なくとも毎日1個程度の摂取であれば、心血管疾患のリスクを有意に上げないことが示唆されています[7]。
これらを踏まえ、他の食事とのバランスを考慮した一般的な目安として、1日2個程度までは許容範囲とされることが多いです。 - 脂質異常症のリスクがある方:
LDLコレステロール値が高い方や、高脂血症の診断を受けている方は注意が必要です。重症化予防の観点から、コレステロール摂取量を1日200mg未満(卵約1個弱相当)に抑えることが推奨される場合があります。必ず主治医の指示に従ってください[6]。
この章のポイント
- 2025年版基準では、健康な人のコレステロール摂取上限量は設定されていない[6]。
- 研究では「1日1個程度」のリスクへの影響は低いとされており[7]、健康な人なら2個程度が目安となる。
- 脂質異常症の方は、重症化予防のために摂取制限が必要な場合がある[6]。
生卵 vs ゆで卵? どのくらい加熱すべき?|完全栄養食 卵
日本の食文化である「生卵」には魅力がありますが、タンパク質の吸収効率や美容成分(ビオチン)を考えると「加熱」に軍配が上がります。しかし、「カチカチに茹でなければいけない」わけではありません。「半熟」こそが、科学的に最も理にかなった食べ方です。
「白身は加熱、黄身は半熟」が最強の理由
卵の加熱におけるジレンマは、以下の2点にあります。
- 白身の事情(加熱したい):
- 吸収率アップ: 加熱することでタンパク質の構造が変わり、消化吸収率が生の約51%から加熱後は約91%まで向上します(※消化管の特定条件下での研究データ[8])。
- ビオチン確保: 生の白身に含まれる「アビジン」は、ビオチンの吸収を阻害します。しかし、加熱すればアビジンは働かなくなるため、無駄なく吸収できるようになります[5]。
- 黄身の事情(加熱しすぎたくない):
- ビタミン温存: 黄身に含まれるビタミンB群や一部の脂質は、長時間の高温加熱に弱く、減少してしまう可能性があります。
結論:目指すは「温泉卵」や「半熟卵」
この2つの事情を解決する「いいとこ取り」が半熟(温泉卵)です。白身が白く不透明になるまで加熱すればアビジンはほぼ不活性化し、タンパク質の消化も良くなります。一方で、黄身がトロッとしている状態ならビタミンの損失も最小限に抑えられます。
- 目安: 白身が白く固まっていればOK。黄身は生〜半熟で問題ありません。
【コラム】卵かけご飯だと、栄養は無駄になっちゃうの?
「生の白身は吸収率が悪い」という話を聞いて、大好きな卵かけご飯を我慢していませんか?1998年の研究では「生卵のタンパク質吸収率は約51%(加熱は91%)」とされており、これだけ見ると損をしているように思えます。
しかし、心配しすぎる必要はありません。これにはちゃんとした理由があります。
- タンパク質は無駄にならない
私たち人間の体には、多少の消化阻害物質が入ってきても、膵臓から消化酵素を追加で出したり(予備能力)、現実の食生活の中では他の食材と混ざり合うことで阻害効果を薄めたりする機能が備わっています。 - ビオチン不足も心配ご無用
結論から言えば、普通の食事量なら全く気にする必要はありません。
アビジンが悪さをするのは、「毎日10個以上の生の白身だけを食べ続ける」といった特殊なケースだけです[5]。1日1個程度なら、腸内細菌もビオチンを作ってくれるため、不足の心配はほぼゼロです。
実験室レベルでの研究データを信じて「効率」を極限まで求めるなら加熱がベストとなりますが、現実の食生活の中では、生食による吸収阻害を神経質に気にする必要はないと筆者は考えています。朝の活力としての「美味しさ」も立派な栄養です。安心してお召し上がりください。
「完全栄養食」の欠点を補うペアリング
卵にはビタミンCと食物繊維が含まれていません。これらを補うことで、真の「完全栄養」に近づきます。
- おすすめの組み合わせ:
- 半熟卵 + ブロッコリー: ビタミンCと食物繊維が豊富。
- 温泉卵 + 納豆: 納豆菌が腸内環境を整え、食物繊維も補えます。
- 卵 + キウイフルーツ: 食後のデザートで手軽にビタミンC補給。
この章のポイント
- タンパク質とビオチンの吸収率を高めるには「白身の加熱」が必須[8][5]。
- 黄身のビタミンを守るため、加熱しすぎない「半熟」や「温泉卵」がベストバランス。
- 卵にない「ビタミンC」と「食物繊維」を野菜や果物で補うのが理想的[1]。
まとめ:卵のチカラを引き出す3つのポイント
卵は、安価で調理しやすく、栄養価も高い「食卓のヒーロー」です。以下の3つのポイントを意識して、日々の食生活に取り入れてみてください。
- 「白身」には火を通す(基本編)
吸収効率を最大化したいなら、白身が白くなるまで加熱する「半熟」や「温泉卵」がおすすめです。 - 野菜と一緒に食べる
卵単体で満足せず、彩りの良い野菜(ブロッコリーやトマトなど)を添えることで、栄養バランスが完璧に近づきます。 - 個数は「自分の体調」に合わせて
健康な方は1日2個程度を目安に楽しんでください。健康診断の数値が気になる方は、医師と相談しながら量を調整しましょう。
免責事項
この記事は情報提供を目的としたものであり、医学的なアドバイスに代わるものではありません。持病のある方(特に脂質異常症の方)、妊娠中の方、その他健康に不安のある方は、食事内容を変更する前に必ず医師や管理栄養士にご相談ください。
参考文献
[1] 文部科学省. 日本食品標準成分表2020年版(八訂). 2020.
URL: https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html
[2] World Health Organization. Protein and amino acid requirements in human nutrition. Report of a joint FAO/WHO/UNU expert consultation (WHO Technical Report Series 935). Geneva: WHO; 2007.
URL: https://iris.who.int/handle/10665/43411
[3] Vander Wal JS, Marth JM, Khosla P, Jen KL, Dhurandhar NV. Short-term effect of eggs on satiety in overweight and obese subjects. J Am Coll Nutr. 2005;24(6):510-515.
DOI: 10.1080/07315724.2005.10719497
PMID: 16373948
URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16373948/
[4] Norton LE, Layman DK. Leucine regulates translation initiation of protein synthesis in skeletal muscle after exercise. J Nutr. 2006;136(2):533S-537S.
DOI: 10.1093/jn/136.2.533S
PMID: 16424142
URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16424142/
[5] Mock DM. Biotin: From Nutrition to Therapeutics. J Nutr. 2017;147(8):1487-1492.
DOI: 10.3945/jn.116.242719
PMID: 28701385
URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28701385/
[6] 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2025年版). 2024 Oct.
URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html
[7] Drouin-Chartier JP, Chen S, Li Y, et al. Egg consumption and risk of cardiovascular disease: three large prospective US cohort studies, systematic review and updated meta-analysis. BMJ. 2020;368:m513.
DOI: 10.1136/bmj.m513
PMID: 32132002
URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32132002/
[8] Evenepoel P, Geypens B, Luypaerts A, Hiele M, Ghoos Y, Rutgeerts P. Digestibility of cooked and raw egg protein in humans as assessed by stable isotope techniques. J Nutr. 1998;128(10):1716-1722.
DOI: 10.1093/jn/128.10.1716
PMID: 9772141
URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9772141/

