ホーム > ダイエット情報局 > ビフィズス菌の効果とは?乳酸菌との違い・増やし方【菌株が鍵】

ビフィズス菌の効果を徹底解説! 乳酸菌との違いから、科学的に正しい増やし方・選び方まで

「最近お腹の調子がスッキリしない…」「腸活を始めたいけど、ビフィズス菌と乳酸菌って結局何が違うの?」

そんな疑問をお持ちではありませんか? ビフィズス菌は「お腹に良い菌」というイメージが定着しています。

(※かつて腸内細菌は「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」と分類され、そのバランス(例 2:1:7)が重要と言われることがありましたが、この単純な分類や比率は科学的根拠が乏しいとされています。近年の研究では、菌の働きは「文脈依存(その人の体調や腸内環境、菌の種類によって変わる)」であり、特定の菌の増減よりも「多様性」が重要とされています。)

この記事は、2025年11月時点の最新の科学的知見に基づき、「なんとなくお腹に良い」というレベルではなく、どのビフィズス菌(菌株)が、どのような目的で、どのように役立つのかまで踏み込んで徹底的に解説します。

先に最も重要な結論からお伝えします。

  • ビフィズス菌は万能薬ではなく、その効果は「菌株(種類)」によって異なります
  • 外から摂取した菌は腸に住み着かない(定着しない)ことが多いため、「継続」が鍵となります。

この記事を読めば、ビフィズス菌に関する誤解が解け、あなたに合った賢い「腸活」の方法が見つかるはずです。

この記事でわかること

  • ビフィズス菌が腸内で担う重要な役割(酢酸の産生など)。
  • 「ビフィズス菌」と「乳酸菌」の役割や生息場所の決定的な違い。
  • 便秘改善など、科学的に報告されているビフィズス菌の「効果」と「限界」。
  • 自分のビフィズス菌を「育てる」食べ物と、菌株を意識して「補う」方法。
  • 「定着しない?」「死菌はダメ?」「効果はいつから?」「やめどきは?」といった、よくある疑問への科学的な回答。

ビフィズス菌とは? 腸内で重要な役割を担う菌

ビフィズス菌(Bifidobacterium属)は、私たちの腸内、特に大腸に最も多くすんでいる細菌の一つです。

健康な成人の腸内細菌のうち、ビフィズス菌は主要な構成メンバーであり、酢酸(さくさん)などを産生することを通じて、腸内環境のバランスを保つために非常に重要な役割を担っています。[1]

主な働き:「酢酸」で腸を守る

ビフィズス菌の最大の功績は、オリゴ糖などをエサにして「酢酸(さくさん)」という短鎖脂肪酸(SCFA)を大量に作り出すことです。[1]

この酢酸には、以下のような重要な働きがあります。

  1. 腸内を酸性に保つ: 腸内pHを下げることで、病原菌などが増殖しにくい環境を作ります。[1]
  2. 腸のバリア機能のサポート: 腸の粘膜を保護する働きを助ける可能性が報告されています。
  3. 他の有用菌を助ける: ビフィズス菌が作った酢酸や乳酸が、今度は「酪酸(らくさん)」という別の重要な短鎖脂肪酸を作る菌のエサとなり、腸内細菌全体のエコシステムを支えています。[2]

年齢と共に減少する現実

ビフィズス菌は、生まれたての赤ちゃんの腸内(特に母乳栄養児)では、腸内細菌の多くを占める主要な菌です。しかし、離乳食の開始、食生活の変化、そして加齢に伴い、その割合は年齢と共に減少していくことが知られています。[2, 19, 20]

この章のポイント

  • ビフィズス菌は主に大腸にすみ、腸内環境の維持に重要な役割を担う主要な細菌の一つ。
  • 主な働きは、腸内pHを下げる「酢酸」を産生し、他の有用菌の働きも支えること。
  • ビフィズス菌は加齢と共に減少する傾向があるため、意識的に補ったり育てたりすることが注目されています。

【コラム】「ビフィズス菌」と「乳酸菌」の決定的な違い

「ビフィズス菌も乳酸菌も、どっちもヨーグルトに入っていて、お腹に良いんでしょ?」これは、多くの方が抱く当然の疑問です。

結論から言うと、ビフィズス菌と乳酸菌は、似ていますが異なるグループの細菌です。どちらも腸内環境に有益な働きをすることで知られており、腸活のパートナーですが、その得意分野や性質が異なります。

比較ポイントビフィズス菌 (Bifidobacterium)乳酸菌 (Lactobacillalesなど)
分類放線菌門 (アクチノバクテリア)フィルミクテス門など
主な生息場所大腸(優位)[3, 18]小腸(比較的優位)[3, 18]
酸素への耐性苦手(偏性嫌気性)[4]比較的耐性がある(通性嫌気性など)[4]
主な産生物酢酸 + 乳酸 [1, 2]主に乳酸 [1, 2]

最も重要な違いは、主な生息場所と産生物です。

ビフィズス菌は酸素がほとんどない大腸で「酢酸」を多く作り出すのに対し、乳酸菌は小腸から大腸まで広く生息し、主に「乳酸」を作り出します。

どちらが優れているというわけではなく、お互いに異なる場所で、異なる役割を担って、私たちの腸内環境を支えてくれているのです。

この章のポイント

  • ビフィズス菌と乳酸菌は、分類学的に異なるグループの細菌。
  • 主な違いは「生息場所(ビフィズス菌は大腸、乳酸菌は小腸)」と「産生物(ビフィズス菌は酢酸、乳酸菌は乳酸)」。
  • どちらも腸活の重要なパートナーであり、両方をバランスよくサポートすることが理想的。

ビフィズス菌の主な効果とは?【便秘・腸内環境】科学的根拠を仕分ける

ビフィズス菌に期待される効果は様々ですが、現時点での科学的な位置づけには差があります。まずは「全体像(ざっくりマップ)」で、今わかっていることの確からしさを整理しましょう。

効果の種類現時点の科学的な位置づけ読者へのメッセージ(要約)
便通改善・整腸人での研究が複数あり、効果“ありそう”レベル「まず試すならここ。菌株名つき製品を4〜8週間」
腸内環境のバランス維持強い(基礎+ヒト研究)「ビフィズス菌の基本的な役割です」
免疫・アレルギー有望な結果はあるがまだ限定的「“おまけ効果”くらいに考えるのが現実的」
メンタル・睡眠一部の菌株で興味深い研究が出始めた段階「今後に期待しつつ、まずは腸の土台づくりを」

ここからは、これらの効果について詳しく見ていきましょう。

A. 複数の研究で、ある程度確かめられている効果(便通改善)

「便秘傾向の方の便通を改善する」という効果については、いくつかのビフィズス菌株で、ヒトを対象とした質の高い臨床研究(RCT)が報告されています。

ここで最も重要なことは、ビフィズス菌の効果は「菌株(ストレイン)」レベルで決まるということです。「ビフィズス菌」というだけでは大雑把すぎ、「Bifidobacterium longum BB536株」のように、菌株名まで特定して初めて、その機能性を議論できます。[17]

  • Bifidobacterium longum BB536株: 日本の高齢慢性便秘患者を対象とした2023年の研究で、主要評価項目では差がなかったものの、排便回数などの指標で改善傾向が示されました。[6]
  • B. animalis subsp. lactis GCL2505株: 健常成人において、排便頻度の増加などが2012年の研究で報告されています。[7]

ただし、注意点もあります。

  • 効果の大きさは、小〜中程度であることが多いです。
  • B. animalis subsp. lactis HN019株のように、過去に便通改善の報告があったものの[9]、2024年の機能性便秘の成人患者を対象とした研究では有効性が確認されなかったという報告[8]もあり、菌株や対象者によって結果は異なります。

【解釈】便通改善を目的とする場合、「ビフィズス菌入り」というだけでなく、BB536株やGCL2505株など、便通に関する研究報告がある「菌株名」が明記された製品を試してみる価値はあると言えます。

B. まだ研究途上の効果(免疫・アレルギー・メンタル等)

「免疫力アップ」「アレルギー緩和」「メンタル改善」といった効果については、どうでしょうか。

  • アレルギー: スギ花粉症患者を対象に B. longum BB536株を摂取させた研究で、症状の軽減が報告された例(2006-2007年)があります。[10, 11]
  • メンタル・睡眠: 健康な成人を対象に B. longum 1714株を摂取させたところ、睡眠の質やウェルビーイング(幸福感)の指標が改善したという2024年のRCT報告があります。[12]

これらは有望なシグナルですが、まだ「すべての人に当てはまる」と言うにはエビデンス(科学的根拠)が限定的です。現時点では、「ビフィズス菌=免疫全般が上がる」といった短絡的な結論は、科学的にまだ断言できません。

「なんだ、アレルギーやメンタルにはまだはっきり効くとは言えないのか…」とがっかりするかもしれませんが、だからこそ“万能な魔法”としてではなく、“腸の土台を整える助っ人”としてビフィズス菌を取り入れるのが、今の科学に沿った賢い使い方です。

目的別アプローチのヒント

期待する目的によって、選ぶべきアプローチや菌株の考え方が変わってきます。

目的おすすめのアプローチ具体例継続の目安
便通を整えたい菌株つきプロバイオティクス + 食物繊維BB536株・GCL2505株入り製品 + ごぼう・バナナ4〜8週間
将来の腸内環境を守りたいプレバイオティクス(エサ)中心玉ねぎ・チコリ・海藻類などを日常の副菜に長期的に継続
花粉症シーズンを意識したい特定菌株をシーズン前から継続BB536株などアレルギー研究のある菌株花粉シーズン前〜期間中

この章のポイント

  • ビフィズス菌の効果は「菌株」ごとに異なり、万能ではありません。
  • 「便通改善」については、BB536株やGCL2505株などで、ヒトでの有効性を示す研究報告があります。
  • 「免疫」「アレルギー」「メンタル」に関する効果は、まだ研究途上の段階であり、過度な期待は禁物です。

ビフィズス菌の効果はいつから?4〜8週間を目安に考えよう

「ビフィズス菌を摂り始めたら、どのくらいで効果が出るの?」と気になる方も多いでしょう。

結論から言うと、効果の感じ方には個人差が非常に大きいですが、一つの目安として「4〜8週間」の継続が推奨されます。

便通改善に関する多くの臨床研究(RCT)は、4週間から8週間程度の期間でその効果を検証しているためです。[6, 7] すぐに変化を感じなくても、まずは1〜2ヶ月、自分に合うかどうかを試してみるのが現実的なラインと言えます。

また、ビフィズス菌のエサとなるプレバイオティクス(オリゴ糖や食物繊維)による腸内環境のサポートも、同様に数週間単位でじっくりと取り組む必要があります。

この章のポイント

  • 効果の実感には個人差が大きく、即効性を期待しすぎるのは禁物。
  • 多くの臨床研究を参考に、「4〜8週間(1〜2ヶ月)」を継続の目安にするのが現実的。
  • 「補う」場合も「育てる」場合も、継続がカギとなる。

腸内のビフィズス菌を増やす「育て方」と「補い方」

ビフィズス菌を優位に保つためのアプローチは、大きく分けて2つあります。①すでにお腹にいる自分のビフィズス菌を「育てる」こと、②外から特定のビフィズス菌を「補う」ことです。

方法1:エサを与えて「育てる」(プレバイオティクス)

最も基本的で重要なのは、あなたの腸内にすんでいる「自前のビフィズス菌」に、彼らが喜ぶエサを与えることです。このエサとなる食品成分を「プレバイオティクス」と呼びます。

ビフィズス菌を増やす食べ物・飲み物リスト

代表的なプレバイオティクス(ビフィズス菌のエサ)

  • フラクトオリゴ糖 (FOS): 玉ねぎ、ニンニク、ごぼう、バナナ、アスパラガス など
  • イヌリン (水溶性食物繊維): チコリ、菊芋、にんにく など
  • ガラクトオリゴ糖 (GOS): 母乳、一部の乳製品、オリゴ糖シロップ など

これらのプレバイオティクス(特にオリゴ糖)を摂取することで、腸内のビフィズス菌が増加することは、多くの研究で一貫して示されています。[16, 23]

方法2:直接「補う」(プロバイオティクス)

ヨーグルト、発酵乳、サプリメントなどで、生きたビフィズス菌(プロバイオティクス)を直接摂取する方法です。

ビフィズス菌サプリやヨーグルトの選び方チェックリスト

特定の効果を期待する場合は、パッケージをよく見てください。

  1. 「菌株名」が明記されていますか?
    • (例:「ビフィズス菌 BB536株 使用」など)
  2. 「機能性表示食品」または「トクホ」ですか?
    • これらの表示は、その菌株で科学的根拠が(消費者庁などに)提出・審査されている証拠になります。[17, 18]
  3. 表示されている「機能」は、あなたの目的と合っていますか?
    • (例:「おなかの調子を整える」「便通を改善する」など)

【腸活イメージ】ビフィズス菌を意識した1日の組み合わせ例

「育てる(プレ)」と「補う(プロ)」を組み合わせるのが理想です。完璧を目指さず、できるところから取り入れてみましょう。

シーンプレバイオティクス(育てる)の例プロバイオティクス(補う)の例時短・コンビニ活用アレンジ
朝食バナナ、オートミール、きなこ菌株名入りヨーグルトコンビニの「ヨーグルト+バナナ1本」
昼食玉ねぎ入りスープ、海藻サラダ、ごぼう(なしでもOK)社食や外食で「汁物+海藻/根菜」を選ぶ
夕食長ねぎ・きのこ類(鍋物や味噌汁)、菊芋菌株名入りサプリメント(食後)冷凍野菜(ほうれん草など)や納豆を1品追加

この章のポイント

  • ビフィズス菌を増やすには、エサとなる「プレバイオティクス(オリゴ糖や食物繊維)」で自分の菌を育てるのが基本。
  • ヨーグルトやサプリで「プロバイオティクス」として補う場合は、「菌株名」と「機能性表示」を確認することが重要。
  • 「育てる」と「補う」を日々の食事で組み合わせることが、賢い腸活の第一歩です。

【最重要FAQ】ビフィズス菌に関するよくある疑問と真実

最後に、ビフィズス菌に関してよくある疑問や誤解について、科学的な知見からお答えします。

摂取したビフィズス菌は、腸にすみ着く(定着する)の?

いいえ、ほとんどは一時的な滞在で、定着しません。
これは最大の誤解の一つです。外から摂取したプロバイオティクス(ビフィズス菌や乳酸菌)は、多くの場合、腸内を通過するだけで、永続的に「すみ着く(定着する)」ことはまれであると報告されています。[13, 14] 人によっては数日で検出されなくなります。
(※ごくまれに長期定着が観察された株もありますが[15]、一般的ではありません。)
だからこそ、ヨーグルトやサプリメントで効果を期待する場合、「毎日継続して」摂取することが科学的に推奨されるのです。ビフィズス菌は、あなたの腸を「通過」する間に、酢酸を作ったり、腸内環境に良い刺激を与えたりしているのです。

生きていないと意味がない?「死菌」の効果は?

「生菌」が基本ですが、「死菌」や「菌の成分」にも効果の可能性が研究されています。
「生きて腸まで届く(プロバイオティクス)」ことは、伝統的に重要とされてきました。しかし近年、国際的な専門家組織(ISAPP)は、「ポストバイオティクス」という新しい概念を定義しました。これは、「宿主に有益な効果をもたらす、非生存微生物と/またはその構成成分を含む“製剤”」を指します。[21]
簡単に言えば、「死菌」や「菌が作り出した成分」であっても、健康効果がきちんと示されたものは「ポストバイオティクス」として価値がある、という考え方です。
これまでの研究では、加熱殺菌された乳酸菌やビフィズス菌(死菌)が、主に免疫の調節や、お腹の不調(IBS:過敏性腸症候群など)の改善に役立つ可能性が報告されています。[22, 24]
ただし、現時点では、便通改善や一般的な腸活を目的としたヒトでのエビデンスは、まだ「生菌(プロバイオティクス)」の方がはるかに豊富です。

ビフィズス菌のサプリは、いつ飲むのが効果的?

一般的には「食後」が推奨されますが、製品の指示に従うのが最善です。
ビフィズス菌は一般的に酸に弱い性質があるため、胃酸が薄まる「食後」に摂取する方が、生きて腸まで届く菌数が多いと考えられています。
ただし、これはあくまで一般論です。最近は、酸に強い菌株が選抜されたり、胃酸から菌を守る特殊なカプセル(耐酸性カプセル)が使われたりしている製品も多くあります。
最も確実なのは、その製品のパッケージや説明書に書かれている「推奨される摂取タイミング」に従うことです。

ビフィズス菌を摂るとお腹がゆるくなる(副作用)ことはありますか?

まれに、お腹のハリやガスの増加、一時的な軟便を感じることがあります。
ビフィズス菌やプレバイオティクスは、健康な成人においては安全性が高いとされています。[5] しかし、摂取し始めの時期や、体質、一度に摂る量によっては、腸が活発に動きすぎたり、発酵によってガスが発生しやすくなったりすることがあります。
もし不快な症状が出た場合は、摂取量を減らすか、一度中止して様子を見てください。症状が続く場合や、持病(特に免疫系の疾患など)をお持ちの方は、必ず医師に相談してください。

ビフィズス菌と乳酸菌は一緒に摂っても大丈夫ですか?

はい、問題ありません。むしろ推奨されます。
前述の通り、ビフィズス菌(主に大腸・酢酸)と乳酸菌(主に小腸・乳酸)は、得意な場所や働きが異なります。
多くのヨーグルト製品にも両方が含まれているように、両者を一緒に摂ることで、小腸から大腸まで、腸内環境全体をサポートする効果が期待できます。

ヨーグルトとサプリ、どちらが効率的ですか?

「続けやすさ」と「菌株の明確さ」で選ぶのがおすすめです。

  • ヨーグルト(食品):
    • メリット:美味しい、食事の一部として摂りやすい、他の栄養素(タンパク質、カルシウム)も摂れる、プレバイオティクス(オリゴ糖など)を加えやすい。
    • デメリット:菌株名が不明確な製品もある、糖分や脂質が気になる場合がある。
  • サプリメント:
    • メリット:目的の菌株(BB536など)を確実に、高用量で摂取しやすい、カロリーがほぼない、常温保存や持ち運びが容易。
    • デメリット:コストがかかる、飲み忘れやすい。

便通改善など特定の目的で特定の菌株を試したい場合はサプリが効率的ですが、日々の腸活として楽しみたい場合はヨーグルトが適しています。あなたのライフスタイルに合わせて、最も「継続しやすい」方法を選ぶことが一番重要です。

どのくらい続けても変化を感じなかったら、やめどきですか?

目安の4〜8週間を続けても、お腹の調子に全く良い変化を感じない場合、その菌株はあなたの体質に合っていない可能性があります。
その場合は、なんとなく続けるよりも、

  1. 別の菌株(例:BB536を試していたら、次はGCL2505の製品にするなど)に切り替える。
  2. プレバイオティクス(オリゴ糖や食物繊維)中心の食事に切り替えて、「自分の菌を育てる」方に注力する。

といった、「作戦変更」をしてみるのが賢明です。

ダイエット目的でビフィズス菌を摂ってもいい?

「主役」ではなく、「サポート役」としてならアリです。

現時点で、「ビフィズス菌を摂るだけで痩せる」ということを明確に示した質の高い科学的根拠は、まだ十分ではありません。

ただし、便通が改善したり、お腹の張りが解消したりすることで、結果的に「お腹周りがスッキリする」と感じる可能性はあります。

「飲むだけで痩せる」と期待するのではなく、あくまで健康的な食事や運動の「サポート役」として、腸内環境を整えるために取り入れるのが、期待しすぎない上手な付き合い方です。

まとめ:ビフィズス菌との賢い付き合い方

ビフィズス菌は、あなたの腸内環境を支える重要なパートナーです。しかし、それは「何にでも効く魔法の菌」ではありません。

ビフィズス菌と賢く付き合っていくためのポイントを再確認しましょう。

  1. 「菌株」を意識する:
    特定の効果(特に便通改善)を期待するなら、「ビフィズス菌入り」という言葉だけでなく、「BB536株」のような菌株名や機能性表示を確認しましょう。
  2. 「継続」をあきらめない:
    外から補う菌は、ほとんど「定着しない」一時的なサポーターです。効果を実感するためには、毎日継続することが科学的なカギとなります。(まずは4〜8週間が目安です)
  3. 「育てる」ことを忘れない:
    サプリやヨーグルトに頼るだけでなく、日々の食事でオリゴ糖や水溶性食物繊維(プレバイオティクス)を摂り、あなた自身のビフィズス菌を「育てる」ことが、腸活の土台となります。

今日からできるビフィズス菌ケア 3ステップ

難しく考えず、まずはできることから始めてみましょう。

  1. ステップ1:チェックする
    まずはスーパーやコンビニで、ヨーグルトや飲料のパッケージを手に取り、「どんな菌株名が書いてあるか」「機能性表示はあるか」をチェックする癖をつけましょう。
  2. ステップ2:1週間続けてみる
    朝食のヨーグルトにバナナ(オリゴ糖)を足す、いつもの味噌汁に玉ねぎやわかめ(食物繊維)を足すなど、簡単な「プロ+プレ」の組み合わせを1週間試してみましょう。
  3. ステップ3:振り返る
    4〜8週間続けたら、「お腹の張りが減ったかも?」「排便リズムが少し変わったかも?」と、自分なりの小さな変化を振り返ってみましょう。合わなければ、菌株の変更も検討します(FAQ Q7参照)。

自分に合った方法で、ビフィズス菌と上手に付き合い、スッキリとした毎日を目指しましょう。

免責事項

この記事は情報提供を目的としたものであり、医学的なアドバイスに代わるものではありません。持病のある方、妊娠中の方、その他健康に不安のある方は、特定の食品やサプリメントを摂取する前に、必ず事前に医師や管理栄養士にご相談ください。

参考文献

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[19] 消費者庁. 食品表示制度をめぐる事情(機能性表示食品・特定保健用食品の表示例を含む). 消費者庁; 2011年9月30日. Available from: https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/other/review_meeting_002/pdf/110930shiryo2.pdf (accessed 2025年11月16日).

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末岡 啓吾

末岡 啓吾

パーソナルトレーニングジム「PriGym」代表トレーナー。
博士(理学)・NSCA認定トレーナー・パワーリフティング元日本記録保持者。
科学と実践の両軸で、一人ひとりの成長を支えます。