ホーム > ダイエット情報局 > 地中海式ダイエットの効果を科学的に解説!健康的に痩せる食事法

今話題の地中海式ダイエットの効果を科学的に解説

近年、健康的な食生活として世界中で注目を集めている「地中海式ダイエット」。

雑誌やテレビで目にする機会も増え、「健康に良いらしい」というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?

この地中海式ダイエット、実は単なる流行りのダイエット法ではなく、長年の研究によって体重管理や様々な健康効果が多くの研究で報告されているのです。

本記事では、地中海式ダイエットとは何か、その具体的な内容から、「本当に痩せるのか?」という疑問への科学的回答、そして日本人が実践するためのコツやデメリットまで、詳しく解説していきます。

地中海式ダイエットとは?

地中海式ダイエットとは、1940~1950年代に地中海沿岸の国々(ギリシャ、イタリア南部など)で伝統的に行われていた食生活をベースにした食事療法です。

これらの地域は、当時、心臓病による死亡率が他の欧米諸国に比べて低いことが注目され、その要因として食生活が研究されました。

その結果、野菜、果物、豆類、魚介類、オリーブオイルなどを豊富に摂取する食生活が、心臓病だけでなく、様々な病気のリスク低減に役立つ可能性が明らかになってきたのです。

地中海式ダイエットの具体的な内容

地中海式ダイエットでは、以下の食品を積極的に摂取することが推奨されています。

  • 野菜: 毎日、様々な種類の野菜をたっぷり食べましょう。
  • 果物: 新鮮な果物を、デザートやおやつに。
  • 全粒穀物: パン、パスタ、ご飯などは、精製されたものではなく、全粒穀物を選びましょう。
  • 豆類: レンズ豆、ひよこ豆、大豆などを、スープやサラダに。
  • ナッツ類: アーモンド、クルミ、カシューナッツなどを、おやつや料理に。
  • 魚介類: 週に2回以上は、魚を食べるようにしましょう。
  • オリーブオイル: 調理油やドレッシングには、オリーブオイルを積極的に使用しましょう。
  • 乳製品: ヨーグルトやチーズなどを、適量摂取しましょう。
  • : 週に数個程度は、卵を食べても構いません。
  • 赤身肉: 赤身肉は、週に1回程度に控えましょう。
  • 加工肉: ソーセージ、ハム、ベーコンなどは、できるだけ避けましょう。
  • 甘い飲み物: ジュースや炭酸飲料などは、控えましょう。
  • お菓子: ケーキ、クッキー、チョコレートなどは、控えめにしましょう。

地中海式ダイエットは、特定の栄養素を制限するのではなく、様々な食品をバランス良く摂取することが重要です。

地中海式ダイエットは本当に痩せる?ダイエット効果を解説

「オリーブオイルをたっぷり使うと太るのでは?」と心配になる方もいるかもしれません。しかし、科学的な研究は、地中海式ダイエットが健康的な減量に有効であることを示しています。

体重・体脂肪への影響

複数の研究をまとめた分析(システマティックレビュー)によると、地中海式ダイエットは、従来の低脂肪食と比較しても、同等かそれ以上の長期的な体重減少効果があることが報告されています(1)。

ただし、これらの研究の多くは、食事の内容を変えるだけでなく、適切なカロリー調整や運動も組み合わせて行われています。「地中海食に変えれば、いくら食べても痩せる」という魔法のような方法ではありませんが、適切な量と運動を組み合わせることで、健康的かつリバウンドしにくい減量が期待できます。

「脂質の質」が重要

太る原因は「脂質の量」だけではありません。「脂質の質」も重要です。地中海式ダイエットで摂取するオリーブオイルやナッツ、魚に含まれる脂質(不飽和脂肪酸)は、飽和脂肪酸(肉の脂など)に比べて、心血管疾患のリスクを下げることが知られています。適切なエネルギー量の範囲内であれば、良質な脂質を摂取しても肥満には繋がらないとされています(2)。

その他の健康効果

減量以外にも、地中海式ダイエットには様々な健康メリットが期待されています。

  • 心血管疾患リスクの低減: 大規模な研究において、地中海式ダイエットが心臓病や脳卒中のリスクを減らすことが示唆されています(3)。これは、オリーブオイルやナッツ、野菜の摂取が、血圧やコレステロール値に良い影響を与えるためと考えられています。
  • 認知機能の健康維持: 主に観察研究において、地中海式ダイエットの実践度が高い人ほど、認知機能の低下や認知症のリスクが低い傾向にあることが報告されています(4)。
  • 長寿・総合的な健康: 大規模なメタ解析において、地中海式ダイエットの実践は全死亡率の低下や、がん・神経変性疾患のリスク低減と関連していることが示されています(5, 6)。

地中海式ダイエットのデメリット・向いていない人

健康効果の高い地中海式ダイエットですが、注意が必要な点や、向いていないケースもあります。

  • カロリーオーバーのリスク: オリーブオイルやナッツは健康に良い反面、カロリーは高めです。「体に良いから」といって無制限に摂取すると、体重増加の原因になります。
  • 食費がかかる: 新鮮な野菜、果物、魚介類、エキストラバージンオリーブオイルなどは、加工食品やジャンクフードに比べるとコストがかかる傾向があります。
  • アルコールが苦手な人: 地中海食では適量のワインが推奨されることがありますが、必須ではありません。お酒が苦手な人や飲めない人が無理に飲む必要は全くありません。

日本人が実践するためのコツ【和食との融合】

「毎日イタリア料理やギリシャ料理を食べるのは大変…」と感じる方もいるでしょう。実は、地中海式ダイエットの考え方は、和食とも非常に相性が良いのです。

和食と組み合わせるポイント

  • 魚を食べる: 日本人はもともと魚をよく食べる習慣があります。刺身や焼き魚は素晴らしいメニューです。
  • 大豆製品を活用する: 地中海食の「豆類」として、納豆、豆腐、枝豆を積極的に取り入れましょう。
  • 主食を工夫する: 白米を玄米や雑穀米、もち麦に変えることで、「全粒穀物」の摂取をクリアできます。
  • コンビニでの選び方: サラダ(ドレッシングはシンプルに)、焼き魚、冷奴、ナッツ(素焼き)、プレーンヨーグルトなどを組み合わせることで、コンビニでも実践可能です。

地中海式ダイエットを始める際の注意点

実践にあたっては、以下の点に注意しましょう。

  • 食習慣、生活習慣の見直し: 地中海式ダイエットは、単なる食事療法ではなく、ライフスタイル全体の改善を目指したものです。食習慣だけでなく、運動習慣や睡眠習慣なども見直すことが重要です。
  • 個別体質に合わせた調整: 持病(特に腎臓病などでカリウムやタンパク質の制限がある場合など)がある方は、必ず医師や栄養士に相談してから始めてください。

まとめ

地中海式ダイエットは、科学的根拠に基づいた健康的な食事法です。

心血管疾患のリスク低減や認知機能の維持に加え、健康的な減量と長寿にも貢献する可能性があります。和食の良さを活かしつつ、オリーブオイルやナッツを上手に取り入れることで、無理なく続けることができるでしょう。

具体的な実践方法については、別記事「今日から始められる地中海式ダイエット。献立&レシピをご紹介」にて詳しく解説しています。具体的な献立例やレシピを紹介していますので、ぜひ参考にして、今日から地中海式ダイエットを始めてみましょう。

参考文献

  1. Mancini JG, Filion KB, Atallah R, Eisenberg MJ. Systematic Review of the Mediterranean Diet for Long-Term Weight Loss. Am J Med. 2016;129(4):407-415.e4.
  2. Sacks FM, Lichtenstein AH, Wu JHY, et al. Dietary Fats and Cardiovascular Disease: A Presidential Advisory From the American Heart Association. Circulation. 2017;136(3):e1-e23.
  3. Estruch R, Ros E, Salas-Salvadó J, et al. Primary Prevention of Cardiovascular Disease with a Mediterranean Diet. N Engl J Med. 2018;378(25):e34.
  4. Lourida I, Soni M, Thompson-Coon J, et al. Mediterranean diet, cognitive function, and dementia: a systematic review. Epidemiology. 2013;24(4):479-489.
  5. Trichopoulou A, Bamia C, Trichopoulos D. Anatomy of health effects of Mediterranean diet: Greek EPIC prospective cohort study. BMJ. 2009;338:b2337.
  6. Sofi F, Macchi C, Abbate R, et al. Accruing evidence on benefits of adherence to the Mediterranean diet on health: an updated systematic review and meta-analysis. Public Health Nutr. 2014;17(12):2769-2782.
末岡 啓吾

末岡 啓吾

パーソナルトレーニングジム「PriGym」代表トレーナー。
博士(理学)・NSCA認定トレーナー・パワーリフティング元日本記録保持者。
科学と実践の両軸で、一人ひとりの成長を支えます。