ホーム > ダイエット情報局 > おでんは痩せる?太る?カロリー・糖質と具材ランキング

【完全ガイド】おでんは痩せる?太る?カロリー・糖質で見る、ダイエット向け「賢い具材」ランキングと食べ方のコツ

寒い季節になると、コンビニやおうちで温かいおでんが食べたくなります。おでんは「低カロリーでダイエット向き」というイメージがありますが、一方で「練り物を食べたら太った」という話も聞かれます。

実際のところ、おでんはダイエットの味方なのでしょうか、それとも罠なのでしょうか。

この記事では、科学的な視点から「おでんとダイエット」の関係を解き明かし、明日からコンビニや自炊で実践できる「太らないおでんの賢い食べ方」を具体的にご紹介します。

結論から申し上げますと、おでんは「具材選び」と「塩分管理」の2点を徹底すれば、減量の強力なサポート役になります。

なぜおでんは「ダイエット向き」と言われるのか?

おでんがダイエットに役立つとされる理由は、主に2つあります。

第一に、おでんは低エネルギー密度の食品であることです。「エネルギー密度」とは、食品の重量あたりに含まれるカロリーのことです。水分を多く含むおでんの具材(特に大根やこんにゃく)と温かい汁物は、少量でも胃の中でかさが増し、強い満腹感を与えてくれます。

実際に、食事の15分前に低カロリーのスープ(汁物)を摂取すると、その後の食事の総摂取エネルギーが平均で約20%低下したという研究報告があります[1]。食事の最初に温かいおでんの汁や具材をゆっくり食べることで、食べ過ぎを防ぐ効果が期待できるのです。

第二に、体が温まることです。温かい食品を摂取することは、それ自体が一時的な満足感を与え、冷たい食事よりもゆっくり食べることを促すため、食べ過ぎの抑制に役立つ可能性があります。これは、恒常的に安静時代謝が上がるという意味ではなく、あくまで食行動面でのサポートと捉えるのが適切です。

ただし、これらのメリットは「適切な具材」を選んでこそ得られるものです。

【賢い具材ランキング】1個あたり目安で見る「S・A・B・C」ランク

まず、読者がコンビニなどで直感的に選べるよう「1個あたり」の目安で具材をランク付けします。

ランク具材(例)1個あたり目安(kcal)糖質(g)ひとこと基準
S大根 / こんにゃく / しらたき5–20 kcal~0–2 g(土台)最初に食べて満腹感の土台を作る
A卵 / 牛すじ / 焼き豆腐 / タコ25–90 kcal0–2 g(満足)たんぱく質で満足感をUP
B練り物(はんぺん / つみれ / ごぼう巻)70–140 kcal5–12 g(調整)1〜2個までに調整する
C餅巾着 / ちくわぶ / 揚げ系多め100–150+ kcal12–20+ g(限定)“ご褒美枠”として限定的に

※上記はあくまで目安です。正確な数値は購入する店舗の表示(後述)や食品成分表(後述)をご確認ください。

【重要】おでんダイエット「今日の3ルール」

理屈は分かっても、選ぶときに迷ってしまいます。まずは以下の3ルールだけを守ってみてください。

  1. 最初に「大根・こんにゃく・しらたき」を食べる
  2. 「卵・豆腐・牛すじ」でたんぱく質を確保する
  3. 「練り物」は1〜2個まで。そして「つゆ」は残す

シーン別「太らないおでん」実践テクニック

上記のルールに基づき、具体的な組み合わせ例をご紹介します。

コンビニで選ぶ「500kcal以下」満足セット例

コンビニのおでんは栄養成分表示が明確なため、カロリー計算がしやすいのが利点です。(各社現行の数値を参照)

  • 満足セット例(約250kcal前後):
    大根(約8kcal)+ 卵(約80kcal)+ こんにゃく(約5kcal)+ 厚揚げ(約81kcal)+ 牛すじ(約77kcal)
  • 低カロリー徹底セット例(約160kcal前後):
    大根(約8kcal)+ 卵(約80kcal)+ しらたき(約7kcal)+ 焼き豆腐(約42kcal)+ タコ(約26kcal ※セブン例)

ここに餅巾着(約130kcal)やちくわぶ(約80kcal)を加えると、カロリーと糖質が一気に跳ね上がることがわかります。

セブン/ファミマ/ローソンの「1個あたり」カロリー・糖質早見表

【重要】コンビニ各社の栄養成分値は、地域・時期・仕様変更により頻繁に変動します。以下の数値はあくまで一例(2025年11月9日時点の代表値)であり、購入時は必ず店頭または公式アプリの最新表示をご確認ください。

セブン-イレブン

注:地域により「味しみ大根(8kcal)」と「大根(12kcal)」など、仕様や数値が異なります。

具材熱量 (kcal)炭水化物 (g)食塩相当量 (g)
味しみ大根8–12~1.7~0.6
味しみ玉子~80~0.5~0.6
味しみこんにゃく5–7~2.4~0.2
味しみしらたき5–7~2.7~0.2
味しみ厚揚げ~81~1.1~0.2
味しみ焼豆腐~42~0.6~0.3
牛すじ串~77~0.2~0.4
餅入り巾着~128~15.4~0.5

ファミリーマート

注:数値は一例です。例えば「味付たまご」は64kcal、「牛すじ串」は40kcalで販売されている場合もあります。

具材熱量 (kcal)炭水化物 (g)食塩相当量 (g)
厚切大根~6~0.8~0.60
味付たまご64–76~0.2~0.60
三角こんにゃく~6~0.3~0.43
結び白滝~11~0.6~0.42
厚揚~92~1.7~0.16
牛すじ串40–56~0.2~0.52
餅入り巾着~134~17.5~0.95

ローソン

ローソンは、公式サイトでの個別具材のPFC・塩分表示が限定的です(100gあたり熱量表示が中心)。(例:大根 11kcal/100g、白滝 6–7kcal/100g、絹厚揚げ 96kcal/100g)

袋入りおでん(550g/袋)の栄養成分例:161 kcal/たんぱく質 12.7g/脂質 5.0g/炭水化物 18.0g(糖質 14.7g・食物繊維 3.3g)/食塩相当量 6.01g


【各社 公式参照URL(付録)】

【100g基準】主要具材の標準成分(文部科学省DB・八訂)

コンビニの「1個あたり」は便利ですが、サイズが異なります。より客観的な比較のため「100gあたり」の標準値も確認しておきましょう。

(可食部100 gあたり。文部科学省 日本食品標準成分表(八訂)準拠)

食品エネルギーたんぱく質脂質炭水化物
大根(ゆで)15 kcal0.5 g0.1 g3.5 g
板こんにゃく7 kcal0.2 gTr3.3 g
しらたき7 kcal0.2 gTr3.1 g
卵(ゆで)134 kcal12.5 g10.4 g0.4 g
厚揚げ(生揚げ)143 kcal10.7 g10.3 g1.3 g
はんぺん93 kcal9.7 g0.7 g11.9 g
さつま揚116 kcal12.6 g1.8 g12.3 g

出典:文部科学省 日本食品標準成分表(八訂・増補2023)[9,10,11,13–15]注: この表は「100gあたり」の標準値です。「1個あたり」の重さではない点にご注意ください。

賢い食べ方のコツ:順番と塩分管理

具材を選んだら、次は「食べ方」です。

食べる順番(先プレロード)

まず「食べる順番」です。食事の最初に、食物繊維が豊富な大根やこんにゃく、しらたきを食べます([1]のプレロード戦略)。次いで、卵や牛すじなどのたんぱく質源を食べ、満腹感を高めます。練り物や餅巾着などを選んだ場合は、必ず最後に食べるようにしましょう。

塩分管理:つゆは“味わうだけ”でOK

最も重要なのが「塩分」です。おでんの美味しさの源である「つゆ」には、多くの塩分が溶け込んでいます。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人の食塩相当量の目標量(DG)は男性7.5 g/日未満、女性6.5 g/日未満とされています[7]。これは2020年版から据え置きですが、新たに高血圧や慢性腎臓病(CKD)の重症化予防を目的とする量として6.0 g/日未満が明示されました。また、国全体の目標として「健康日本21(第三次)」では7.0 g/日が目標値とされています[8]。

つゆをすべて飲み干してしまうと、1食でこれらの目標量の大半に達してしまう可能性があります。つゆは風味を楽しむ程度にし、決して飲み干さず、具材を中心に食べることを徹底してください。

自炊で工夫する

もし自宅でおでんを作る場合は、さらに健康的にアレンジできます。

昆布、かつお節、干し椎茸などで出汁(だし)を濃く取ることで、塩や醤油の使用量を減らしても満足感のある味わいになります。具材には、大根やこんにゃくのほか、きのこ類(しいたけ、エリンギなど)やトマト、食物繊維の多い海藻類を加えるのもおすすめです。

ただし、昆布だしにはヨウ素が多く含まれます。健康な人には問題ありませんが、甲状腺の疾患で治療中の方や、検査・治療のために低ヨウ素食を指示されている方は、昆布だしの使用や、つゆを多量に飲むことは避けるようご注意ください[16]。

おでんダイエットのよくある質問(FAQ)

最後に、おでんダイエットに関するよくある疑問について、科学的な視点からお答えします。

つゆはどの程度残せばよい?

「飲み干さない」ことが基本です。具材に染み込んだ分だけで風味を楽しみ、汁を「飲む」行為を意識的に避けるのが最も安全です。どうしても飲みたい場合も、レンゲで1〜2杯程度に留め、全体の塩分摂取量を管理してください。

練り物はどれを優先? 1日何個まで?

優先順位は「焼き・蒸し系(ちくわ、はんぺん等) > 揚げ系(さつま揚げ、がんもどき等)」です。揚げ系は脂質とカロリーが、ちくわなどは糖質と塩分がそれぞれ高くなりがちです。いずれにせよ「1食あたり1〜2個まで」を上限の目安にしましょう。

夜食におでんは太る?

具材を選べば、夜食としても優秀です。大根、こんにゃこ、しらたき、豆腐などを中心にし、餅巾着や練り物は避けてください。ただし、就寝直前は避け、できれば寝る2〜3時間前までには済ませましょう。つゆも残してください。

運動日と非運動日で変えるべき?

変えると、より効果的です。運動した日はたんぱく質(卵・牛すじ・豆腐)を1品多めにして筋肉の回復をサポートし、運動しない日は低エネルギー密度(大根・しらたき)を厚めにして総カロリーを抑える、といった調整が理想です。

大根の消化酵素や、こんにゃくの食物繊維で劇的に痩せますか?

期待しすぎは禁物です。大根の酵素(アミラーゼ等)は、体重減少に直接的な効果を示す質の高い科学的根拠は見当たりません。また、多くは加熱で失活します。大根はあくまで「極めて低カロリーな具材」として優秀です。こんにゃく(グルコマンナン)の体重減少への効果は「小さい」または「不確実」であると複数の研究で結論付けられています[2, 4]。ただし、悪玉(LDL)コレステロールの低下[3, 5]や、食後の血糖値上昇を緩やかにする可能性[6]は示唆されています。

おでんだけを食べていれば痩せますか?

痩せません。特定の食品だけを食べ続ける「単品ダイエット」は栄養失調のリスクがあり、推奨されません。減量の基本は「摂取カロリーと消費カロリーの収支」です。おでん(汁物)の満腹感を活かして「総食事エネルギー」を抑える、という戦略が正しいアプローチです[1]。

まとめ:賢い具材選びで、おでんをダイエットの味方にしよう

おでんは、「太る食べ物」でも「自動的に痩せる食べ物」でもありません。

大根・こんにゃく・しらたき・卵・豆腐・牛すじといった「低カロリー・低糖質・高たんぱく」な具材を中心に選び、餅巾着やちくわぶのような「高糖質」な具材を避ける。そして、練り物は「1〜2個まで」と控えめにする。

最後に、健康管理の視点から「つゆは飲み干さない」こと。

これらのルールを守りさえすれば、おでんは体を温め、高い満足感を与えながらカロリーを抑えられる、ダイエット中の最強のメニューの一つとなります。今年の冬は、賢い具材選びをマスターして、おでんを楽しみながら健康的な体づくりに役立てていきましょう。


【参考文献リスト】

[1] Flood JE, Rolls BJ. Soup preloads in a variety of forms reduce meal energy intake. Appetite. 2007;49(3):626–634. https://doi.org/10.1016/j.appet.2007.04.002

[2] Onakpoya IJ, Posadzki PP, Ernst E. The efficacy of glucomannan supplementation in overweight and obesity: a systematic review and meta-analysis of randomized clinical trials. J Am Coll Nutr. 2014;33(1):70–78. https://doi.org/10.1080/07315724.2014.870013

[3] Ho HVT, Jovanovski E, Zurbau A, Blanco Mejia S, Sievenpiper JL, Au-Yeung F, et al. A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials of konjac glucomannan on LDL cholesterol, non-HDL cholesterol and apolipoprotein B. Am J Clin Nutr. 2017;105(5):1239–1247. https://doi.org/10.3945/ajcn.116.142158

[4] Zalewski BM, Szajewska H. The effect of glucomannan on body weight in overweight or obese children and adults: a systematic review of randomized controlled trials. Nutrition. 2015;31(3):437–442.e2. https://doi.org/10.1016/j.nut.2014.09.004

[5] Sood N, Baker WL, Coleman CI. Effect of glucomannan on plasma lipid and glucose concentrations, body weight, and blood pressure: systematic review and meta-analysis. Am J Clin Nutr. 2008;88(4):1167–1175. https://doi.org/10.3945/ajcn.2008.26356

[6] Yoshida A, Kimura T, Tsunekawa K, Araki O, Ushiki K, Ishigaki H, et al. Glucomannan inhibits rice gruel–induced increases in postprandial glucose and insulin levels. Ann Nutr Metab. 2020;76(4):259–267. https://doi.org/10.1159/000508674

[7] 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2025年版)報告書(分割版:ミネラル(多量ミネラル)ナトリウム). 2025. https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316468.pdf

[8] 厚生労働省. 健康日本21(第三次)推進のための説明資料. 2023. https://www.mhlw.go.jp/content/000942689.pdf

[9] 文部科学省. 日本食品標準成分表(八訂・増補2023) 食品成分データベース(だいこん/根/皮なし/ゆで). https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06135_7

[10] 文部科学省. 日本食品標準成分表(八訂・増補2023) 食品成分データベース(しらたき). https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=2_02005_7

[11] 文部科学省. 日本食品標準成分表(八訂・増補2023) 食品成分データベース(板こんにゃく/精粉こんにゃく). https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=2_02003_7

[12] Rolls BJ. Dietary energy density: Applying behavioural science to weight management. Nutr Bull. 2017;42(3):246–253. https://doi.org/10.1111/nbu.12280

[13] 文部科学省. 日本食品標準成分表(八訂・増補2023) 食品成分データベース(鶏卵/全卵/ゆで). https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=12_12005_7

[14] 文部科学省. 日本食品標準成分表(八訂・増補2023) 食品成分データベース(生揚げ). https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=4_04039_7

[15] 文部科学省. 日本食品標準成分表(八訂・増補2023) 食品成分データベース(はんぺん/さつま揚げ). https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=10_10385_7

[16] 国立研究開発法人 国立がん研究センター がん情報サービス. 甲状腺がん:療養(放射性ヨウ素内用療法前後のヨウ素制限についての記載を含む). https://ganjoho.jp/public/cancer/thyroid/follow_up.html

末岡 啓吾

末岡 啓吾

パーソナルトレーニングジム「PriGym」代表トレーナー。
博士(理学)・NSCA認定トレーナー・パワーリフティング元日本記録保持者。
科学と実践の両軸で、一人ひとりの成長を支えます。