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パントテン酸を効率良く摂取!おすすめの食べ物・食材10選

パントテン酸(ビタミンB5)は、コエンザイムA(CoA)の構成成分として、エネルギー産生や脂質代謝などに不可欠な水溶性ビタミンです。[3][4]

「至る所にある酸」という語源のとおり、多くの食品に広く含まれており、通常の食生活で不足することは稀です。[4] また、不足がない状態でサプリメントなどを追加しても、美肌や疲労回復といった効果は確立した高品質エビデンスが限定的である点に留意しましょう。[3][4]

本稿の食品中含有量は、文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年版」に基づいて整理しています。[1]

1日の目安量(AI=目安量)

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、18歳以上の目安量(AI)が以下のとおり設定されています。[2]

  • 男性:6 mg/日(今日のゴール)
  • 女性:5 mg/日(今日のゴール)

(AI=十分な栄養状態が観察される集団の摂取量に基づく指標です)

パントテン酸が多い食べ物ランキング(形態別)

100gあたりの値で「乾物」と「生鮮・調理後」を混在させると、水分量の違いで誤解を招きやすくなります。ここでは部門を分けて掲載します。[1]

【乾物部門】(100gあたり)

乾物は水分が抜けている分、100gあたりの数値が非常に高く表示されます。ただし1食で食べる量は少ない点に注意しましょう。

  • 1位:乾しいたけ(乾) — 8.77 mg/100g
    1食の目安(戻す前 5g):約 0.44 mg
    戻し汁にもパントテン酸等が溶け出すので、だしやスープに活用するのがおすすめです。[1]

【生鮮・調理後部門】(100gあたり)

実際に私たちが食べる状態に近い「生」または「調理後」の値です。

  1. 鶏レバー(生)10.0 mg
  2. 牛レバー(生)6.4 mg
  3. 納豆(挽きわり)4.28 mg
  4. 納豆(糸引き)3.63 mg
  5. 落花生(いり)2.2 mg
  6. モロヘイヤ(生)1.83 mg
  7. ブロッコリー(生)1.42 mg
  8. 鶏卵(全卵・生)1.16 mg
  9. いわし(まいわし・生)1.14 mg
  10. 玄米(炊飯後)0.65 mg

※レバー類はビタミンAも極めて豊富。ビタミンAは脂溶性で体内に蓄積しやすく、特に妊娠初期の方は過剰摂取を避けるよう注意が必要です。[2]

1食あたりで見るパントテン酸摂取目安(早見表)

100gあたりで多く見えても、実際の摂取量は「食べる量×含有量」で決まります。食卓イメージに近い目安をまとめました。[1]

食品名1食の目安量 (g)1食あたりのパントテン酸 (mg)備考
鶏レバー50約 5.0(生)
牛レバー50約 3.2(生)
納豆(挽きわり)50 (1パック)約 2.1
玄米めし150 (茶碗1杯)約 0.98(炊飯後)
いわし(まいわし)80 (1尾)約 0.91(生)
ブロッコリー50約 0.71(生)
鶏卵50 (1個)約 0.58(生)
モロヘイヤ30 (小鉢)約 0.55(生)
乾しいたけ5 (戻す前)約 0.44(乾物)

目安量(AI)達成の一例:

  • 納豆(挽きわり 1パック)+ 玄米めし(茶碗1杯)+ ゆで卵(1個)約 3.6 mg
  • これに ブロッコリー(50g) を加えると 約 4.3 mg。さらに副菜や主菜で魚・肉・豆類を組み合わせれば1日のAIに近づきます。

コンビニや外食で賢く摂取する組み合わせ例

まずはコレ:『納豆+卵+緑の小鉢=3mgライン』

コンビニ組み合わせ早見表(量つき)

組み合わせ想定量合計パントテン酸(目安)置き換え候補
納豆巻き + ゆで卵 + ブロッコリーサラダ1本 + 1個 + 50g3.0mg超玄米おにぎり/モロヘイヤ小鉢
玄米おにぎり + 納豆(小) + サラダチキン1個 + 40〜50g + 1袋3.5mg前後ゆで卵追加で+0.5mg前後

コンビニ:

  • 納豆巻き(または玄米おにぎり)+ ゆで卵 + ブロッコリーサラダ → 約 3 mg 以上が目安。

外食:

  • レバニラ炒め定食(ご飯が玄米なら尚良し)
  • さばの塩焼き定食(小鉢で納豆や卵を追加)

パントテン酸は多くの食品に分布しているため、特定の食品に偏らずバランスよく選ぶのがポイントです。[1]

パントテン酸を効率良く摂取する調理のポイント

1) 水への溶出に注意(調理法の工夫)

パントテン酸は水溶性で、煮る・茹でると調理水に流出しやすい栄養素です。茹でるより「蒸す」「炒める」、あるいはスープとして煮汁ごと摂れる調理法を選ぶとロスを抑えられます。[3]

2) 熱安定性の目安

  • 水溶性で調理水に溶け出しやすい(溶出損失)。[4]
  • pHと温度の影響中性付近では比較的安定だが、強い酸性・アルカリ性加熱で不安定になりやすいとされます。[3]
  • 加工・加熱での保持傾向(定性的)
    • 茹でる(多量の湯)…溶出で減りやすい → 茹で汁の活用でロス軽減。[4]
    • 蒸す・電子レンジ(少水分)…溶出が少なく保持しやすい。[4]
    • 短時間の炒め・焼き…水を使わず加熱時間が短いほど保持しやすい。[3][4]

まとめ:「水を減らす」「時間を短くする」「汁ごと食べる」がパントテン酸保持の基本戦略です。[3][4]

3) 調理法とロスの目安(体感指標)

調理法パントテン酸の保持感ひと言メモ
蒸す・炒める高い油は少量でOK。短時間加熱がコツ
スープ・みそ汁中〜高煮汁ごと摂れるとロス低減
茹でる(茹でこぼし)低い避ける/茹で汁活用でカバー

摂取時の注意点(安全性とサプリメント)

  • 通常の食事からの過剰摂取による健康被害は報告が限られており、耐容上限量(UL)は設定されていません。[2][4]
  • 一方で、サプリメントなどで**1日あたり10 g(10,000 mg)**のような極端な高用量を摂取すると、下痢などの症状が報告されています。高用量の自己判断は避けましょう。[4]

よくある質問(FAQ)

パントテン酸は加熱で失われますか?

中性付近では比較的熱に安定ですが、水溶性のため茹でる調理では溶出による損失が起こりやすいです。茹で汁を活用するスープ、または蒸す・炒める方法がおすすめです。[3]

コンビニで手軽に摂るなら何を選べばいい?

納豆、ゆで卵、玄米おにぎり、ブロッコリーやモロヘイヤ入りサラダ・惣菜などの組み合わせが簡単で効率的です。[1]

サプリメントは必要ですか?

パントテン酸は多くの食品に含まれるため、通常のバランスの良い食事では不足は稀です。特段の事情がなければサプリメントの必要性は低いでしょう。[3][4]

レバーの食べ過ぎはなぜ良くないのですか?

レバーはパントテン酸に加えビタミンAが非常に豊富です。ビタミンAは脂溶性で体内に蓄積しやすく、特に妊娠初期は過剰摂取を避ける必要があります。[2]

“乾物の数値が高い”のは結局どれくらい食べる前提?

乾しいたけは戻す前5gで約0.44 mgなど、実食量で見るのがコツです。[1]

子どもや妊娠中はどう意識すれば良い?

基本はバランス食+実食量で。レバーは頻度・量に配慮(妊娠初期はビタミンA過剰を避ける)。詳細は公的資料をご確認ください。[2]

炊飯やレンチンで失われる?

水に溶けやすく茹でこぼしで減りやすい一方、蒸す・炒める・スープ化はロスを抑えやすいです。[3]

まとめ

  • パントテン酸は幅広い食品に含まれ、通常の食生活で不足は稀。[4]
  • 100gあたりの数値に惑わされず、1食あたりでの摂取量を意識する。
  • 鶏レバーは50gでAIの多くをカバーできる一方、ビタミンA過剰に注意。
  • 納豆・玄米・卵・野菜・魚介などをバランスよく組み合わせて、日々の食事の中で無理なくカバーしましょう。[1][2]

参考文献リスト

  1. 文部科学省. 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年(食品成分データベース). 公表:2023-04-28. https://fooddb.mext.go.jp/
  2. 厚生労働省. 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書. 公表:2024-10-11(最終更新:2025-03-25). https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
  3. 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所. 「『健康食品』の安全性・有効性情報:パントテン酸」. 更新日:2020-11-05. https://hfnet.nibn.go.jp/vitamin/detail274/
  4. National Institutes of Health, Office of Dietary Supplements. Pantothenic Acid — Health Professional Fact Sheet. Updated 2021-03-26. https://ods.od.nih.gov/factsheets/PantothenicAcid-HealthProfessional/

注:数値は可食部/標準成分値に基づきます。食品の部位・品種・調理条件等によりばらつく場合があります。最新情報・詳細は各公的資料をご確認ください。

末岡 啓吾

末岡 啓吾

パーソナルトレーニングジム「PriGym」代表トレーナー。
博士(理学)・NSCA認定トレーナー・パワーリフティング元日本記録保持者。
科学と実践の両軸で、一人ひとりの成長を支えます。