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ビタミンB1が多い食べ物ランキング。豚肉・玄米・うなぎの効率的な摂り方、調理のコツを解説(科学根拠つき)

「しっかり寝てもだるさが抜けない」「糖質(炭水化物)をつい食べ過ぎる」——。その悩みは、食べた糖質をエネルギーに変える“代謝の着火剤” ビタミンB1(チアミン) の摂取不足が関係しているかもしれません。

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ビタミンB1がなぜ重要なのか、疲労・肌・ダイエットとどう関係するのかといった「理論」については、以下の記事で詳しく解説しています。

この記事では、日本食品標準成分表(八訂・増補2023)と日本人の食事摂取基準(2025年版)にもとづいて、「どの食材が多いか」「どう調理するとムダが少ないか」「コンビニ/外食では何を選ぶか」を、実用重視でまとめました。数値は可食部100gまたは1食分で比較し、食品の形態(生/焼き/かば焼 など)まで明記しています[1,2]。

要点

  • B1の王様は豚肉。とくに豚ヒレ豚ももが突出(数値は下表)[1]。
  • 土台は主食の工夫玄米に替えると、日々コツコツとB1が底上げ[1,2]。
  • 調理の基本茹でこぼし・長時間加熱・アルカリ条件でB1は失われやすい。汁ごと食べる/蒸す/炒める/電子レンジが有利[3–6]。
  • 推奨量(成人)男性 1.1–1.2 mg/日、女性 0.7–0.9 mg/日(年齢で変動)[2]。
  • にんにく(アリシン)×B1は、脂溶性誘導体(アリチアミン等)の知見としては妥当だが、通常食で“吸収率が確実に上がる”と断定はできないため、「理にかなった組合せ」程度の表現が適切[7,8]。

ビタミンB1が多い食べ物ランキング【100gあたり】

出典:日本食品標準成分表(八訂・増補2023)。形態(生/焼き/かば焼)で値は変わります[1]。

肉類:豚肉が圧倒的トップ

食材名(形態)B1含有量 (mg/100g)
豚ヒレ(焼き)2.09
豚ヒレ(生)1.32
豚もも(焼き)1.19
豚もも(生)0.96
鶏レバー(生)0.38
牛ヒレ(生)0.10

魚介類・加工品:うなぎ・たらこが優秀

食材名(形態)B1含有量 (mg/100g)
うなぎ(かば焼)0.75
たらこ(生)0.71
かつお節(加工品)0.55
ブリ(成魚・生)0.23
サバ(まさば・生)0.21
カツオ(春獲り・生)0.13

注:かつお節は乾燥・熟成加工で水分が少ないため100g当たりの数値が高く見えます[1]。

穀類・豆類・その他:玄米・大豆製品が土台

食材名(形態)B1含有量 (mg/100g)
玄米(穀粒/生)0.41
玄米めし(炊飯後)0.16
納豆(糸引き)0.13
木綿豆腐0.09
卵(全卵・生)0.06
牛乳(普通)0.04

「1食分」でどれくらい摂れる?(実用換算)

食材(調理例)1食分の目安量B1量(mg)
豚ヒレカツ約120g(調理後)約2.51
ポークソテー(豚もも)約130g(調理後)約1.55
うな丼うなぎかば焼 約100g約0.75
たらこ約50g約0.36
玄米ごはん約150g(炊飯)約0.24
納豆約45g約0.06

計算例:豚もも(焼き)1.19 mg/100g × 130g = 約1.55 mg、玄米めし0.16 mg/100g × 150g = 約0.24 mg[1]。ひとこと結論:豚ヒレ/豚ももの料理は1食で推奨量(例:男性30–49歳 1.2 mg/日)を満たす強力ソース。玄米は1膳の寄与は控えめでも毎食の積み上げで効いてきます[2]。

コスパの目安(100円あたりB1量)

家計実感の参考として、一般的な価格帯で概算した「100円あたりB1量」。価格は地域・時期で大きく変動するため、あくまで例です。

食材名(形態)想定価格(100g)B1(100g)B1/100円
豚もも(生)約150円0.96 mg約0.64 mg
玄米めし約33円(100g相当)0.16 mg約0.48 mg
納豆約67円(100g相当)0.13 mg約0.19 mg
卵(生)約40円(100g相当)0.06 mg約0.15 mg
うなぎ(かば焼)約1000円0.75 mg約0.08 mg

成分は成分表値、価格は市場目安。購入時の実価格で再計算してください[1]。

B1を“無駄にしない”調理・保存の科学

失いやすい条件(避けたいこと)

1) 茹でこぼし・長時間の煮込み:水溶性のため煮汁へ溶出、加熱が長いほど分解も進む[3–6]。

2) アルカリ条件(例:重曹を多用):pHが高いほど不安定。柔らかくする目的の重曹は多用しない[4]。

3) 長時間の高温:加熱が長いほど分解が進みやすい[3,5]。

4) 光(特に強い紫外線):溶液系では光分解の報告。家庭では直射日光を避け、冷暗所で[4,5]。

調理損失の具体率は食品・条件で幅が大きい。原則として「煮る/茹でる > 蒸す・炒める・電子レンジ」「煮汁は活用」を指針に[3,6]。

失いにくい手法(おすすめ)

  • 汁ごと食べる豚汁・ポトフなどは溶出分も摂取できる[3]。
  • 蒸す・炒める・電子レンジ加熱時間短縮+水への溶出が少ない[6]。

吸収と「食べ合わせ」の真実:にんにく(アリシン)×B1

  • にんにくのアリシンとB1が反応して脂溶性誘導体(アリチアミン等)になる知見は古くからあり、誘導体は一般に水溶性B1より吸収や持続性が高いことが示されています(医薬/サプリのB1誘導体として応用:ベンフォチアミン等)[7,8]。
  • 一方で、通常の家庭料理そのもの体内のB1吸収率が一貫して大きく向上することを直接検証したヒト試験は限定的。したがって、表現は「理にかなった組合せ」にとどめるのが科学的です[7,8]。

アリシンについて知りたい方はこちらをご覧ください。
関連記事:アリシンの効果と危険性|ニンニクの力は本当?【科学で解説】

実践例:豚の生姜焼き(玉ねぎ/にんにく)、ガーリックポークソテー、レバニラ。炒め/蒸し中心で、汁も活用できる献立ならさらに合理的。

コンビニ・外食での現実解(体脂肪を増やしにくく、B1はしっかり)

方針:高B1×過不足のないエネルギー。主役は豚肉、土台は玄米/胚芽米、汁ごとでロス回収、揚げ物と大盛りは頻度・量で調整[1–3,6]。

コンビニ編:組み合わせテンプレ(目安 450–700 kcal)

  • テンプレA(高B1・低脂質寄り)
  • 主菜:豚しゃぶサラダ or ローストポーク系惣菜(ドレッシングは半量)
  • 主食:玄米/胚芽米おにぎり×1(小さめ)
  • 汁物:豚汁(汁まで)
  • たんぱく追加:冷奴 or 納豆

理由:豚+汁ごとでB1ロスを抑え、主食は精白米よりB1が多い胚芽/玄米へ[1–3]。

  • テンプレB(忙しい日の一体型)
  • 豚の生姜焼き弁当:ごはん“小”指定(可能なら雑穀/玄米系
  • カット野菜 or 海藻サラダを追加(ノンオイル or 半量)

理由:にんにく/玉ねぎ×豚=理にかなった組合せ。ただし“吸収率が必ず上がる”と断定はしない[7]。

  • テンプレC(軽めに済ませたい)
  • 胚芽米おにぎり×1 + 納豆巻
  • 具だくさん味噌汁 or 豚汁(小)

理由:穀類・大豆で土台のB1を積み上げ、汁ごとで溶出分も回収[1–3,6]。

避けたいパターン

  • 揚げ物+菓子パン+甘い飲料の三重炭脂
  • 大盛り丼や追いおにぎりで炭水化物過多。
  • ドレッシング・マヨの全量投入(まず半量で)。

外食編:B1を取りつつ太りにくいオーダー術

  • 生姜焼き定食(推し)
  • 肉多め/キャベツ増量/ごはん“小”、味噌汁は残さず
  • 追加:冷奴 or 納豆

豚×玉ねぎ/にんにくの相性+汁ごとでB1ロス対策[1–3,7]。

  • とんかつを選ぶなら
  • ヒレ優先、衣は端を少し残す、ソースは薄がけ
  • ごはん“小”、キャベツ山盛り、味噌汁は飲む

豚はB1源だが、衣とソースでカロリーが嵩むため量で調整[1–3]。

  • うな丼のコツ
  • ごはん少なめ追いタレなし肝吸い+漬物は少量

うなぎもB1が取れるが、タレ糖分とごはん量でエネルギーが跳ね上がるのでごはん量コントロール[1,2]。

  • 麺類を選ぶなら
  • チャーシュートッピング半麺(可能なら)/スープは残す

豚由来でB1を補いつつ、スープと麺量でエネルギーを調整[1–3]。

太らないための5つのスイッチ(実務)

  1. ごはんは“最初から小盛”(おかわり禁止よりストレスが低い)。
  2. 主菜は“豚×焼く/蒸す/レンジ”がベース(揚げ物は週1–2回程度に)。
  3. “汁ごと”食べられる選択豚汁・味噌汁)を優先[3,6]。
  4. ドレッシング/タレは半量タレの追いがけなし
  5. 甘い飲料→無糖茶・水。アルコールはB1を消耗しやすいので控えめ[3]。

具体アイデア(そのまま注文・購入できる言い回し)

  • 生姜焼き、肉多めで。ごはん小、キャベツ多めでお願いします」
  • ヒレかつ単品+冷奴ごはん小で」
  • 玄米おにぎり1個と豚汁、あと海藻サラダ。ドレッシングは半分だけ使います」
  • チャーシューメン半麺で、スープは残します

ポイント:“量・調理法・味付け”の三点で調整し、B1の主役=豚と土台=玄米/胚芽米を軸にするだけで、外でも“太りにくい × 代謝ケア”が両立します[1–3,6–7]。

サプリメントを使うなら(補助的に)

大前提:まずは食事での充足(主菜=豚肉、主食=玄米、汁物の活用)が基本。欠乏が疑われる症状や基礎疾患がある場合は医療機関で評価を[2,3]。

1) 形態と特徴

  • チアミン塩類(チアミン塩酸塩/モノ硝酸塩)
    最も標準的な形。水溶性で吸収は用量依存的に頭打ちになり、余剰は尿中へ排泄されます[3]。
  • 脂溶性誘導体(例:ベンフォチアミン、TTFD=アリチアミン系)
    体内でチアミンに変換され、水溶性に比べ血中上昇や持続が高いことが示唆されています。歴史的にはにんにく由来成分の研究が基盤で、医薬/サプリ領域で利用されています[7,8]。
    ※日常食の「にんにく+B1」で一貫した吸収率の大幅改善を人で直接実証したエビデンスは限定的です。“理にかなった組合せ”程度の位置づけに留めましょう[7]。

2) 使うと相性がよい場面(“補助輪”として)

  • 食事だけでの充足が難しい期間(食欲低下、忙しさで主菜が不足しがち など)[3]
  • 喪失が増えやすい状況:長期のアルコール多飲、特定の利尿薬使用、透析、術後・高齢など リスク群 では不足に注意が必要です[3]。
  • 高糖質パターンが続く食生活の是正と並行して短期的に底上げしたい場合[2,3]

3) 安全性とリスク管理

  • 安全性:経口チアミンは一般的に安全性が高く、耐容上限量(UL)は設定されていません。ただし、サプリでの自己流の大量摂取は推奨されません[3]。
  • 相互作用・注意:一部の利尿薬ではチアミン喪失の増加が報告されています。長期治療中は主治医に相談し、栄養状態を定期的に確認しましょう[3]。
  • 欠乏の疑い(神経症状、重度の食思不振、慢性大量飲酒など)は医療評価が優先です[3]。

4) 選び方チェックリスト(実務)

  • 成分表示が明確(チアミンの化合物名・量、配合目的が読み取れる)
  • 単剤かBコンプレックスか:食事全体が不安定ならB群複合、特定目的なら単剤を検討[3]
  • 用法の現実性:毎日続けられる回数・錠数
  • 重複回避:エナジードリンクやマルチビタミン等との重複摂取に注意
  • 医薬品・治療中なら事前に主治医に確認(相互作用・栄養管理の一貫性)

5) フードファーストの具体策(サプリ併用の前に)

  • 豚ヒレ/もも1日1回主菜に[1]
  • 玄米を基本の主食に(毎食の積み上げで底上げ)[1,2]
  • “汁ごと食べる・短時間加熱・非アルカリ”を徹底(溶出・分解を抑える)[3–6]

まとめ:サプリは「不足を埋める補助輪」。土台はあくまで献立の作り方です[2,3,5–7]。

まとめ(今日からできる5か条)

  1. 豚肉(ヒレ/もも)を軸に1日1回はB1リッチな主菜を[1]。
  2. 主食は玄米に置換して“底上げ”[1,2]。
  3. 調理は「汁ごと・短時間・非アルカリ」が原則[3,4,6]。
  4. にんにく/玉ねぎ×豚肉理にかなった組合せ(過度な断定は避ける)[7,8]。
  5. 推奨量(2025年版)を意識し、無理なく積み上げる[2]。

参考文献

[1] 文部科学省. 食品成分データベース(日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年). https://fooddb.mext.go.jp/

[2] 厚生労働省. 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書. https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html

[3] National Institutes of Health, Office of Dietary Supplements. Thiamin – Health Professional Fact Sheet. https://ods.od.nih.gov/factsheets/Thiamin-HealthProfessional/

[4] Voelker AL, Miller J, Running CA, Taylor LS, Mauer LJ. Effect of pH and concentration on the chemical stability and reaction kinetics of thiamine mononitrate and thiamine chloride hydrochloride in solution. BMC Chemistry. 2021;15:58. https://doi.org/10.1186/s13065-021-00773-y

[5] Kimura M, Itokawa Y, Fujiwara M. Cooking losses of thiamin in food and its nutritional significance. J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo). 1990;36(Suppl 1):S17–S24. https://doi.org/10.3177/jnsv.36.4-supplementi_s17

[6] Hrubša M, Siatka T, Zahradníčková L, et al. Biological Properties of Vitamins of the B-Complex, Part 1: Vitamins B1, B2, B3, and B5. Nutrients. 2022;14(3):484. https://doi.org/10.3390/nu14030484

[7] Amagase H. Clarifying the Real Bioactive Constituents of Garlic. J Nutr. 2006;136(3 Suppl):716S–725S. https://doi.org/10.1093/jn/136.3.716S

[8] Lonsdale D. Thiamine tetrahydrofurfuryl disulfide: a little known therapeutic agent. Medical Science Monitor. 2004;10(9):RA199–RA203. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15328496/

末岡 啓吾

末岡 啓吾

パーソナルトレーニングジム「PriGym」代表トレーナー。
博士(理学)・NSCA認定トレーナー・パワーリフティング元日本記録保持者。
科学と実践の両軸で、一人ひとりの成長を支えます。