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「食事制限も運動も頑張っているのに、成果が出にくい…」
「ダイエットを始めたら、肌のコンディションが気になる…」

理想の自分を目指す中で、このような壁を感じることはありませんか?

もちろん、ダイエットの基本は、バランスの取れた食事によるカロリー管理と適度な運動です。

しかし、その努力を内側から支え、より良いコンディションを保つために、特定の栄養素が重要な役割を果たすことがあります。

この記事では、あなたのダイエットを「サポート」する栄養素の一つとして、「ビタミンC」の意外な役割と、その力を最大限に活かすための賢い摂り方について、科学的な情報に基づいて解説します。

第1章 美肌だけじゃない!ダイエットを支えるビタミンCの3つの役割

ビタミンCは「美肌のビタミン」として有名ですが、実はダイエット中の体を多角的にサポートする働きも報告されています。ここでは、その主な3つの役割をご紹介します。

役割1:脂肪燃焼プロセスのサポート

私たちの体が脂肪をエネルギーとして利用する際、「L-カルニチン」という物質が、脂肪酸をエネルギー産生工場(ミトコンドリア)へ運ぶ重要な役割を担っています。

ビタミンCは、このL-カルニチンの体内での合成に不可欠な補酵素として働くことが知られています[1]。このため、ビタミンCの充足が脂肪燃焼プロセスの一因となる可能性が考えられています。

関連して、血中のビタミンC濃度が低い状態の成人は、運動中の脂肪酸化率が約25%低かったという研究結果もあります[2]。

ただし、これは意図的にビタミンCを欠乏させた被験者15名での短期的なランダム化二重盲検クロスオーバー試験であり、結果の解釈には注意が必要です。

役割2:ストレスによるコンディション低下をケア

ダイエット中は食事制限や環境の変化から、精神的なストレスを感じやすくなります。

ストレスを感じると分泌されるホルモン「コルチゾール」は、過剰になると食欲の乱れや、内臓脂肪の蓄積につながる可能性が指摘されています[3]。

ビタミンCがコルチゾールの過剰な分泌を穏やかにするという報告もありますが[4]、これは120名の被験者に1日3gという高用量を投与した短期的な研究です。

近年のシステマティックレビューにおいても、ビタミンCがストレス関連指標へ与える影響は一貫しておらず、エビデンスは限定的であると結論づけられています[5]。一般的な食事や市販のサプリメントで用いられる用量(1日1g以下)で同様の効果が得られるかは検証されておらず、過度な期待は禁物です。

役割3:運動後のリカバリーに対する限定的な影響

運動は体内で酸化ストレス(体をサビつかせる原因となるストレス)を増加させます。ビタミンCは抗酸化物質(そのサビつきを抑える働きを持つ物質)として、この酸化ストレスを軽減する働きが期待されています。

実際に複数の研究を統合したメタ解析では、ビタミンCの補給が運動後の酸化ストレス指標を一部改善させたと報告されています[6]。

しかし、同解析では筋肉痛や筋力回復といったパフォーマンスの改善効果は明確には認められなかったと結論づけています。

さらに近年のスポーツ栄養学では、運動後の抗酸化物質の過剰摂取は、体が本来持つべきトレーニングへの適応(筋力向上など)を妨げる可能性も指摘されており[7]、サプリメントなどでの積極的すぎる摂取は慎重に判断する必要があります。

第2章 ビタミンCを味方につける!賢い摂取の完全ガイド

ビタミンCの恩恵を受けるためには、その性質を理解し、賢く摂取することが大切です。今日から実践できるポイントをご紹介します。

基本は「バランスの取れた食事から」

厚生労働省が推奨する成人のビタミンC摂取量(RDA)は1日100mgです[8]。なお、喫煙をされる方は体内のビタミンCが消費されやすいため、より多くの摂取が推奨されています。

ちなみに、日本の国民健康・栄養調査によれば、多くの日本人は食事から平均して100mg前後のビタミンCを摂取できており、深刻な欠乏状態はむしろ稀なのが現状です。

まずは以下の食品などを参考に、バランスの取れた食事を心がけましょう。

食品名ビタミンC含有量 (可食部100gあたり)[9]
赤ピーマン(パプリカ)170mg
芽キャベツ160mg
ブロッコリー140mg
キウイフルーツ(黄肉種)140mg

多忙な方向けの実践ヒント

  • 調理の手間を省きたい時は、ビタミンCの損失が比較的少ない冷凍野菜(ブロッコリー等)やカットフルーツも便利です。
  • 例えばコンビニエンスストアでも「サラダチキン、パプリカやミニトマト入りのサラダ、オレンジジュース」といった組み合わせで、手軽に100mg以上を確保できます。

サプリはあくまで「補助」として

通常の食事で充足していることが多いため、サプリメントの必要性は高くありませんが、食生活が大きく乱れがちな時の「補助」として考えるのは良い選択です。

その際の注意点として、厚生労働省が定める耐容上限量(UL)は成人で1日2,000mg(2g)です[8]。市販のマルチビタミン等に含まれる量(1粒100~200mg程度)であれば、この上限を大きく下回ります。

2,000mgを超える量を継続的に摂取すると、吐き気や下痢といった消化器系の症状や、体質によっては腎結石のリスクが高まることが報告されています[8, 10]。

持病のある方や、サプリメントの利用に不安がある場合は、事前に医師や管理栄養士に相談しましょう。

調理法で失わないための工夫

ビタミンCは熱や水に弱いデリケートな栄養素です。

研究によれば、ブロッコリーを茹でるとビタミンCの約半分が失われるのに対し、蒸した場合は損失が約20%に抑えられたというデータもあります[11]。

効率的に摂取するには、生で食べられるサラダや、水への流出が少ない「蒸し料理」「電子レンジ調理」などを上手に活用するのがおすすめです。

まとめ:ダイエット成功の基盤の上に、ビタミンCでプラスαのサポートを

本記事で解説したように、ビタミンCは体のコンディションを整える上で様々な役割を持っていますが、ダイエットへの直接的な効果は限定的です。

しかし、最も重要なことを忘れないでください。ビタミンCだけで体重が減ることはありません。

ダイエット成功の土台は、あくまで摂取カロリーと消費カロリーのバランスです。その上で、栄養バランスの取れた食事と、継続的な運動が不可欠です。

また、本記事で紹介した研究結果は特定の条件下で行われたものであり、効果には個人差があることをご理解ください。

ビタミンCは、その健全な土台の上で努力するあなたを、内側から支えてくれるサポーターの一つです。まずは日々の食事のバランスを見直すことから始めてみましょう。

参考文献リスト

  1. Rebouche CJ. Carnitine. In: Modern Nutrition in Health and Disease. 10th ed. Lippincott Williams & Wilkins; 2006. p. 537-44.
  2. Johnston CS. Marginal vitamin C status is associated with reduced fat oxidation during submaximal exercise in young adults. Nutr Metab (Lond). 2006;3:35. doi: 10.1186/1743-7075-3-35.
  3. Hewagalamulage SD, Lee TK, Clarke IJ, Henry BA. Stress, cortisol, and obesity: a role for cortisol responsiveness in identifying individuals prone to obesity. Domest Anim Endocrinol. 2016;56 Suppl:S112-20. doi: 10.1016/j.domaniend.2016.03.004.
  4. Brody S, Preut R, Schommer K, Schürmeyer TH. A randomized controlled trial of high dose ascorbic acid for reduction of blood pressure, cortisol, and subjective responses to psychological stress. Psychopharmacology (Berl). 2002;159(3):319-24. doi: 10.1007/s00213-001-0929-6.
  5. Young LM, Pipingas A, White DJ, Gauci S, Scholey A. A Systematic Review and Meta-Analysis of B Vitamin Supplementation on Depressive Symptoms, Anxiety, and Stress: Effects on Healthy and ‘At-Risk’ Individuals. Nutrients. 2019;11(9):2232. doi: 10.3390/nu11092232. (注: 本レビューはビタミンB群が中心だが、ビタミンCを含むストレス研究の全体像を考察する上で参考となる)
  6. de Oliveira DCX, Rosa FT, Simões-Ambrosio L, et al. Effects of vitamin C on oxidative stress, inflammation, muscle soreness, and strength following acute exercise: meta-analyses of randomized clinical trials. Eur J Nutr. 2022;61(6):2835-2849. doi: 10.1007/s00394-022-02857-y.
  7. Paulsen G, Cumming KT, Holden G, et al. Vitamin C and E supplementation hampers cellular adaptation to endurance training in humans: a double-blind, randomized, controlled trial. J Physiol. 2014;592(8):1887-1901. doi: 10.1113/jphysiol.2013.267419.
  8. 厚生労働省. 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書. (閲覧日: 2025年7月29日) Available from: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html
  9. 文部科学省. 日本食品標準成分表2020年版(八訂). (閲覧日: 2025年7月29日) Available from: https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/index.htm
  10. Ferraro PM, Curhan GC, Gambaro G, Taylor EN. Total, dietary, and supplemental vitamin C intake and risk of incident kidney stones. Am J Kidney Dis. 2016;67(3):400-7. doi: 10.1053/j.ajkd.2015.09.005.
  11. Yuan G, Sun B, Yuan J, Wang Q. Effects of different cooking methods on health-promoting compounds of broccoli. J Zhejiang Univ Sci B. 2009;10(8):580-8. doi: 10.1631/jzus.B0920051.

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