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ダイエットを成功させるためには、摂取カロリーと消費カロリーのバランスを理解することが重要です。つまり、エネルギー消費量を意識することがダイエット成功の鍵となります。

この記事では、エネルギー消費量の仕組み、基礎代謝、身体活動レベル、食事誘発性熱産生、NEATなど、ダイエットに役立つ科学的知識を分かりやすく解説します。

1. エネルギーバランスとダイエット

人間の体は、食物から摂取したエネルギーを活動の燃料として利用しています。摂取したエネルギーと消費したエネルギーの差をカロリー収支といい、このバランスが体重増減に大きく影響します (1)。

  • 摂取カロリー > 消費カロリー => 体重増加
  • 摂取カロリー < 消費カロリー => 体重減少
  • 摂取カロリー = 消費カロリー => 体重維持

ダイエットを成功させるには、消費カロリーを増やす、摂取カロリーを減らす、あるいはその両方を組み合わせることで、カロリー収支をマイナスにする必要があります。

2. エネルギー消費量の構成要素

エネルギー消費量は、大きく3つの要素に分けられます。

  • 基礎代謝: 生命維持に必要な最小限のエネルギー消費量(約60%)
  • 身体活動レベル (PAL): 運動や日常生活活動によるエネルギー消費量(約30%)
  • 食事誘発性熱産生 (DIT): 食物の消化吸収に必要なエネルギー消費量(約10%)

2-1. 基礎代謝

基礎代謝は、心臓を動かしたり、呼吸をしたり、体温を維持したりといった、生命維持に必要な基本的な活動に使われるエネルギーです。基礎代謝量は、年齢、性別、体格、筋肉量、ホルモンバランス、遺伝的要因などによって個人差があります (2)。

2-2. 身体活動レベル (PAL)

PALは、運動や日常生活活動の活発さを示す指標です。PALが高いほど、活動量が多く、エネルギー消費量も多くなります。

PALは、METs (Metabolic Equivalent of Task) という単位で表されます。METsは、安静時のエネルギー消費量を1としたときの活動の強度を表す指標で、METs値が高いほど、活動強度が高く、エネルギー消費量も多くなります (3)。

2-3. 食事誘発性熱産生 (DIT)

DITは、食物を消化吸収する際に消費されるエネルギーです。DITは、摂取する栄養素の種類によって異なり、タンパク質は炭水化物や脂質よりもDITが高いことが知られています (4)。

3. 日常生活におけるエネルギー消費:NEAT

NEAT (Non-Exercise Activity Thermogenesis: 非運動性活動熱産生) とは、運動以外の日常生活における活動で消費されるエネルギーのことです (5)。

例えば、

  • 立っている
  • 座っている
  • 歩いている
  • 家事をする
  • fidgeting (そわそわと体を動かす)

など、意識して運動していない時の活動によるエネルギー消費もNEATに含まれます。

NEATは、総エネルギー消費量の中で意外と大きな割合を占めており、ダイエットにも大きく影響することが近年の研究で明らかになってきています (1)。

NEATを高めるためには、

  • こまめに立つ
  • 階段を使う
  • 家事を積極的に行う
  • デスクワーク中に立つ時間を設ける

などを意識することが重要です。

NEATについて、より詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

4. エネルギー消費量とダイエット

ダイエットを成功させるためには、エネルギー消費量を増やす、摂取カロリーを減らす、あるいはその両方を組み合わせる必要があります。

4-1. 消費カロリーを増やす方法

  • 運動: 有酸素運動、筋トレ、HIITなどを積極的に行う
  • NEAT: 日常生活における活動量を増やす
  • DIT: タンパク質を多く摂取する

4-2. 摂取カロリーを減らす方法

  • 食事内容の見直し: 高カロリーな食品を避け、栄養バランスを意識した食事を心がける
  • 食事量の調整: 腹八分目を意識し、食べ過ぎないようにする

4-3. 健康的なダイエットのための注意点

  • 極端な食事制限は、栄養不足やリバウンドのリスクを高めるため、避けるべきです。
  • 過度な運動は、怪我や体調不良のリスクを高めるため、無理のない範囲で行うべきです。
  • 自分の体質や生活習慣に合ったダイエット方法を選択することが重要です。

5. まとめ

この記事では、ダイエットにおけるエネルギー消費量の重要性について解説しました。エネルギー消費量を増やす、摂取カロリーを減らす、あるいはその両方を組み合わせることで、健康的にダイエットを成功させることができます。

今回の記事でご紹介した基礎知識を踏まえ、ご自身の体質や生活習慣に合ったダイエット方法を見つけて、実践してみてください。

参考文献

  1. Levine JA. Non-exercise activity thermogenesis (NEAT). Best Pract Res Clin Endocrinol Metab. 2002 Dec;16(4):679-702. doi: 10.1053/beem.2002.0227.  
  2. Zurlo F, Larson K, Bogardus C, Ravussin E. Skeletal muscle metabolism is a major determinant of resting energy expenditure. J Clin Invest. 1990 Nov;86(5):1423-7. doi: 10.1172/JCI114857.  
  3. Ainsworth BE, Haskell WL, Herrmann SD, Meckes N, Bassett DR Jr, Tudor-Locke C, Greer JL, Vezina J, Whitt-Glover MC, Leon AS. 2011 Compendium of Physical Activities: a second update of codes and MET values. Med Sci Sports Exerc. 2011 Aug;43(8):1575-81. doi: 10.1249/MSS.0b013e31821ece12.  
  4. Westerterp-Plantenga MS, Smeets A, Lejeune MP. Protein intake and energy expenditure. Am J Clin Nutr. 2004 Feb;79(2):335S-343S. doi: 10.1093/ajcn/79.2.335S.
  5. James Levine: Measurement of energy expenditure. Public Health Nutr. 2005 Aug;8(7A):1123-32. doi: 10.1079/phn2005800.
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