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ダイエットを成功させるためには、食事制限と運動が重要…そう思っていませんか?もちろん、それらも大切ですが、実は、日常生活の中で無意識に行っている活動が、ダイエット 成功の鍵を握っているかもしれません。 それが、近年注目されている「NEAT(非運動性活動熱産生)」です。

NEATって何?

NEATとは、Non-Exercise Activity Thermogenesisの略で、日本語では非運動性活動熱産生と訳されます。これは、運動以外の日常生活におけるあらゆる身体活動で消費されるエネルギーのことです(1)。

例えば、

  • 立っている
  • 座っている
  • 歩いている
  • 家事をする
  • そわそわと体を動かす(fidgeting)

など、特別な運動を意識していない時の活動でもエネルギーは消費されています。これら全てがNEATに含まれます。

NEATは、1日の総エネルギー消費量の中で意外と大きな割合を占めており、基礎代謝量よりも個人差が大きく(4)、ダイエットにも大きく影響することが近年の研究で明らかになってきています(2)。例えば、1日の総エネルギー消費量におけるNEATの割合は、座位の多い人では15%程度ですが、活動的な人では50%を超えることもあります(5)。

NEATで痩せる仕組み

NEATを増やすことは、消費カロリーを増やすことに繋がり、ダイエットに効果的です。

Levineら(3)は、NEATが肥満の予防に重要な役割を果たしていることを示唆しています。彼らは、肥満者と非肥満者のNEATを比較した結果、肥満者は非肥満者よりも1日あたり約350kcalもNEATが低いことを発見しました。このエネルギー消費量の差は、年間で約14kgの体重増加に相当します。

また、基礎代謝は年齢や体質の影響を受けますが、運動や食事によっても変化させることができます。しかし、NEATは基礎代謝よりも個人差が大きく、意識的に増やすことができます(4)。

NEATは、ダイエットだけでなく、健康にも良い影響を与えます。ある研究では、NEATが高い人ほど、2型糖尿病(8)や心血管疾患(9)のリスクが低いという結果が出ています。

NEATを増やす具体的な方法

NEATを増やすための具体的な方法としては、以下のようなものがあります。どれも簡単にできるので、今日から試してみてくださいね!

  • こまめに立つようにしましょう。例えば、仕事中に1時間に1回は立ち上がってストレッチをする、などです。こまめに立つことで、血行促進や腰痛予防にも効果が期待できます(6)。
  • エレベーターやエスカレーターではなく、階段を使うようにしましょう。階段を上ることで、下半身の筋力強化や心肺機能の向上に効果が期待できます(7)。
  • 家事を積極的に行いましょう。掃除機をかけたり、洗濯物を干したり、料理をしたりするのもNEATに繋がります。家事をするときは、体を大きく動かすことを意識しましょう。
  • デスクワーク中に立つ時間を設けましょう。スタンディングデスクを導入したり、立って作業できるスペースを作ったりするのも良いですね。
  • 座っている時に足を動かすようにしましょう。足を組んだり、貧乏ゆすりをしたりするのも効果的です。
  • テレビを見ながらストレッチをしましょう。座ったままでもできるストレッチはたくさんあります。
  • 電話中に歩き回りましょう。ついつい座ってしまいがちな電話中も、歩き回ることでNEATを増やすことができます。

日常生活の中で、少しでも体を動かすことを意識することで、NEATを増やすことができます。

NEATを高める上での注意点

NEATを高める際に注意すべき点は、無理のない範囲で活動量を増やすことです。急に活動量を増やしすぎると、体を痛めてしまう可能性があります。

また、NEATはあくまでもダイエットの補助的な役割を果たすものです。食事制限と運動を組み合わせることで、より効果的にダイエットを進めることができます。

NEATで変わる!ダイエット成功体験談

ある30代女性は、デスクワーク中心の生活で運動不足を感じていました。そこで、NEATを意識して生活習慣を見直すことに。1時間に1回は立ち上がってオフィス内を歩き、階段を使うようにしたところ、1ヶ月で2kgの減量に成功しました。さらに、以前より体が軽くなり、疲れにくくなったと感じているそうです。

まとめ

日常生活の中で、少しでも体を動かすことを意識することで、NEATを増やすことができます。無理のない範囲で活動量を増やし、食事制限と運動を組み合わせることで、より効果的にダイエットを進めることができます。

NEATは、運動以外の日常生活における身体活動で消費されるエネルギーのことです。NEATを増やすことは、消費カロリーを増やすことに繋がり、ダイエットに効果的です。

参考文献

  1. Levine JA. Non-exercise activity thermogenesis (NEAT). Best Pract Res Clin Endocrinol Metab. 2002 Dec;16(4):679-702. doi: 10.1053/beem.2002.0227.
  2. Zurlo F, Larson K, Bogardus C, Ravussin E. Skeletal muscle metabolism is a major determinant of resting energy expenditure. J Clin Invest. 1990 Nov;86(5):1423-7. doi: 10.1172/JCI114857.
  3. Levine JA, Eberhardt NL, Jensen MD. Role of nonexercise activity thermogenesis in resistance to fat gain in humans. Science. 1999 Apr 2;284(5411):212-4. doi: 10.1126/science.284.5411.212.  
  4. Ravussin E, Lillioja S, Anderson TE, Christin L, Bogardus C. Determinants of 24-hour energy expenditure in man. Methods and results using a respiratory chamber. J Clin Invest. 1986 Sep;78(3):1568-78. doi: 10.1172/JCI112649.  
  5. Maclean PS, Bergouignan A, Cornier MA, Jackman MR. Biology’s response to dieting: the impetus for weight regain. Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol. 2011 Jul;301(3):R581-600. doi: 10.1152/ajpregu.00755.2010.  
  6. Buckley JP, Hedge A, Yates T, Copeland RJ, Loosemore M, Hamer M, et al. The sedentary office: an expert statement on the growing case for change towards better health and productivity. Br J Sports Med. 2015 Sep;49(18):1147-52. doi: 10.1136/bjsports-2014-094618.  
  7. Eves FF, Webb OJ, Mutrie N, Wannamethee SG. Psychological and social factors associated with stair climbing in a representative sample of British adults: a cross-sectional study. Br J Health Psychol. 2013 Feb;18(1):153-66. doi: 10.1111/j.2044-8287.2012.02082.x.
  8. Healy GN, Dunstan DW, Salmon J, Cerin E, Shaw JE, Zimmet PZ, et al. Objectively measured light-intensity physical activity is independently associated with 2-h plasma glucose. Diabetes Care. 2007 Sep;30(9):2384-9. doi: 10.2337/dc07-0204.  
  9. Katzmarzyk PT, Church TS, Craig CL, Bouchard C. Sitting time and mortality from all causes, cardiovascular disease, and cancer. Med Sci Sports Exerc. 2009 May;41(5):998-1005. doi: 10.1249/MSS.0b013e3181930355.  

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