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ガラクトオリゴ糖は便秘に効く?効果の根拠・安全性・摂取量と選び方

要点

  • 安全性は?:アメリカ(FDA)やEU(EFSA)の専門機関が「安全」と評価しています(GRAS認定など)。[1–3]
  • 便秘への効果は?:複数の研究で「排便回数が増えた」と報告されています。とくに週3回以下の人や35歳以上で差が出やすいというデータも。[4] 腸内のビフィズス菌を増やす働きも確認されています。
  • どう使う?:「少量(2〜3g)から」始め、「2〜4週間」続けてみましょう。特保(トクホ)では1日4〜8gの例が多いですが、「摂りすぎるとお腹がゆるくなる」点も共通の注意点です。[9]
  • 副作用は?:お腹の張り、ガス、軟便が主です。量が多いほど出やすく、1日15gで膨満感が増えたという報告もあります。[8]
  • 注意点:FODMAP(フォドマップ)の一種なので、IBS(過敏性腸症候群)の人は症状が出ることがあります。[15,16]

ガラクトオリゴ糖って、そもそも何?

かんたんに言うと、「腸に届くオリゴ糖」の一種です。 多くの製品は、牛乳に含まれる「乳糖(ラクトース)」を原料に作られています。

砂糖との大きな違い

  • 砂糖やブドウ糖:食べたあと小腸で吸収され、エネルギーになります。
  • ガラクトオリゴ糖消化されにくく、そのまま大腸まで届きます

大腸でビフィズス菌などの「エサ」になり、腸内細菌が「短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)」という物質を作ります。これが腸の動きを助けると考えられています。[13]

便秘への効果:どのくらい期待できる?

複数の「人を対象にした研究」で、便秘改善の効果が報告されています。

  • 大人の便秘(3週間):1日11gを3週間続けたところ、排便回数が増加。とくに、もともと週3回以下だった人で効果がはっきり見られました。腸内のビフィズス菌が増えたことも確認されています。[4]
  • 機能性便秘(4週間):信頼性の高い研究(※二重盲検試験)で、回数や便の形、スッキリ感(満足度)が改善したと報告されました。[5]

使い方の目安 効果には個人差があります。まずは2〜4週間を目安に続け、「排便回数」と「便の形(硬さ)」が自分に合っているかチェックしてみてください。[4,5]

安全性は?「がんになる」はウソ?

専門機関の評価

  • アメリカ(FDA):「GRAS(一般に安全と認められる食品)」に分類されています。[1]
  • EU(EFSA):乳児用ミルクや医療用食品への使用拡大を「安全上の懸念なし」と評価しています。[2,3]

「がんになる?」という心配について 「ガラクトオリゴ糖ががんの原因になる」という科学的な報告は見当たりません。 むしろ、人を対象にした研究で、大腸がんに関連する指標を悪化させなかったことが示されています。[17]

摂取量と期間:どれくらい試せばいい?

目安は1日4〜8g 日本の特保(トクホ)の資料では、1日4〜8gで設計されている例があります。 ただし、共通して「摂りすぎたり、体質・体調によってはお腹がゆるくなる」という注意書きがあります。[9]

おすすめの実践ステップ

  1. まずは少量(2〜3g/日)からスタート
  2. お腹に問題がなければ、5〜10g/日の範囲で調整(研究[4-7]でもこの範囲が多いです)
  3. 2〜4週間続けて、回数や便の形をチェック
  4. 合わないと感じたら、量を減らすか中止する

※ガラクトオリゴ糖単体での「摂取基準」はありません。まずは食物繊維など、食事全体のバランスを整えることが大切です。[12]

製品の選び方:ラベルのここをチェック

  1. 「ガラクトオリゴ糖」の表示 成分表示や「関与成分名」に明記されているか。
  2. 1日の目安量(g) どれくらいの量で設計されているか(例:4〜8g [9])。
  3. 含有率 シロップ製品などでは、砂糖やブドウ糖が添加されていることも。純粋なオリゴ糖を摂りたい人は、含有率(例:50%)を確認しましょう。
  4. 信頼できるか不安な時は 消費者庁のデータベースで、特保(トクホ)[9]や機能性表示食品[10]として届出が出ているか商品名で検索してみるのも一つの手です。

ヤクルト(シロタ株)とはどう違う?

  • ガラクトオリゴ糖 = 菌の「エサ」(プレバイオティクス)
  • シロタ株 = 菌そのもの(プロバイオティクス)

役割が違います。この2つを一緒に摂ることを「シンバイオティクス」と呼びます。 くわしくは 関連記事:シンバイオティクス解説 をどうぞ。[14]

よくある質問(FAQ)

ガラクトオリゴ糖でがんになりますか?

いいえ。そのような科学的根拠はありません。専門機関の評価も高く、人での研究でも安全性は確認されています。[1-3, 17]

どのくらいで効果が出ますか?

まずは2〜4週間を試す目安にしてください。研究でも3〜4週間で効果をみています。[4, 5]

お腹が張ったり、ゆるくなります…

一度、量を減らすかお休みしてください。ガラクトオリゴ糖はFODMAP(フォドマップ)の一種です。とくにIBS(過敏性腸症候群)の人は、お腹の症状が出やすいことがあるため注意が必要です。[15, 16]
関連記事:FODMAPの基礎知識|代表食品と1食の上限目安

食品からも摂れますか?

サプリやシロップで使われる「β-ガラクトオリゴ糖」は、牛乳の乳糖から作られるものが主です。大豆などに含まれる「α-ガラクトオリゴ糖」とは構造が少し違います。そのため、便秘対策として使われるガラクトオリゴ糖は、製品(サプリやシロップ)から摂るのが現実的です。[11, 13]

知っておきたい「研究の限界」

  • 期間:ほとんどの研究が3〜4週間と短めです。何年も続けた場合の長期的な効果は、まだはっきりわかっていません。[4-7]
  • 対象者:研究の対象は「便秘ぎみ」と自覚している人や「機能性便秘」の人が中心です。他の病気が原因の便秘(器質的疾患)への効果はわかっていません。[4, 5]
  • 個人差:安全性が高いとはいえ、体質(とくにIBS)によって「お腹がゴロゴロしない快適な量」は人それぞれです。[8, 15, 16]

まずはここから(実践チェックリスト)

参考文献

[1] U.S. Food and Drug Administration. GRAS Notice No. GRN 000721: Galacto-oligosaccharides. 2017 Dec 19. Available from: https://www.fda.gov/media/110215/download

[2] EFSA Panel on Nutrition, Novel Foods and Food Allergens (NDA). Safety of the extension of use of galacto-oligosaccharides as a novel food. EFSA Journal. 2021;19(10):6844. https://doi.org/10.2903/j.efsa.2021.6844.

[3] EFSA NDA Panel. Safety of the extension of use of galacto-oligosaccharides in foods for special medical purposes. EFSA Journal. 2022;20(3):7203. https://doi.org/10.2903/j.efsa.2022.7203.

[4] Schoemaker MH, Hageman JHJ, Ten Haaf D, Hartog A, Scholtens PAMJ, Boekhorst J, et al. Prebiotic galacto-oligosaccharides impact stool frequency and fecal microbiota in self-reported constipated adults: a randomized clinical trial. Nutrients. 2022;14(2):309. https://doi.org/10.3390/nu14020309.

[5] Lee JH, Kim GB, Han K, Jung E-J, Suh HJ, Jo K. Efficacy and safety of galacto-oligosaccharide in the treatment of functional constipation: randomized clinical trial. Food & Function. 2024;15(12):6374–6382. https://doi.org/10.1039/D4FO00999A.

[6] Teuri U, Korpela R. Galacto-oligosaccharides relieve constipation in elderly people. Annals of Nutrition and Metabolism. 1998;42(6):319–327. https://doi.org/10.1159/000012751.

[7] Sairanen U, Piirainen L, Nevala R, Korpela R. Yoghurt containing galacto-oligosaccharides, prunes and linseed reduces the severity of mild constipation in elderly subjects. European Journal of Clinical Nutrition. 2007;61(12):1423–1428. https://doi.org/10.1038/sj.ejcn.1602670.

[8] Teuri U, Korpela R, Saxelin M, Montonen L, Salminen S. Increased fecal frequency and gastrointestinal symptoms following ingestion of yogurt containing 15 g/day galacto-oligosaccharides. Journal of Nutritional Science and Vitaminology (Tokyo). 1998;44(3):465–471. https://doi.org/10.3177/jnsv.44.465.

[9] 消費者庁. 特定保健用食品の許可について(公表資料:ガラクトオリゴ糖、1日4〜8 g・注意表示の例). 2025-05-15. Available from: https://www.caa.go.jp/notice/assets/food_labeling_cms206_250515_03.pdf

[10] 消費者庁. 機能性表示食品の届出情報検索. Available from: https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/search

[11] 消費者庁. 特定保健用食品(規格基準型) 別添3:特定保健用食品(規格基準型)制度における規格基準(ガラクトオリゴ糖の規格・定量法を含む). 2022-08-31. Available from: https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_for_specified_health_uses/notice/assets/food_labeling_cms201_220831_04.pdf

[12] 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2025年版). Available from: https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316585.pdf

[13] Davani-Davari D, Negahdaripour M, Karimzadeh I, Seifan M, Mohkam M, Masoumi SJ, et al. Prebiotics: Definition, types, sources, mechanisms, and clinical applications. Foods. 2019;8(3):92. https://doi.org/10.3390/foods8030092.

[14] Swanson KS, Gibson GR, Hutkins R, Reimer RA, Reid G, Verbeke K, et al. The ISAPP consensus statement on the definition and scope of synbiotics. Nature Reviews Gastroenterology & Hepatology. 2020;17(11):687–701. https://doi.org/10.1038/s41575-020-0344-2.

[15] Halmos EP, Power VA, Shepherd SJ, Gibson PR, Muir JG. A diet low in FODMAPs reduces symptoms of irritable bowel syndrome: randomized, controlled, cross-over trial. Gastroenterology. 2014;146(1):67–75.e5. https://doi.org/10.1053/j.gastro.2013.09.046.

[16] Lacy BE, Pimentel M, Brenner DM, Chey WD, Keefer L, Long MD, et al. ACG Clinical Guideline: Management of Irritable Bowel Syndrome. The American Journal of Gastroenterology. 2021;116(1):17–44. https://doi.org/10.14309/ajg.0000000000001036.

[17] Alles MS, Hartemink R, Meyboom S, Harryvan JL, van Laere KMJ, Nagengast FM, et al. Effect of trans-galactooligosaccharides on human intestinal microflora and putative colon cancer risk markers. The American Journal of Clinical Nutrition. 1999;69(5):980–991. https://doi.org/10.1093/ajcn/69.5.980

末岡 啓吾

末岡 啓吾

パーソナルトレーニングジム「PriGym」代表トレーナー。
博士(理学)・NSCA認定トレーナー・パワーリフティング元日本記録保持者。
科学と実践の両軸で、一人ひとりの成長を支えます。