PriGym | 【池袋】パーソナルジム
ラフィノースの効果と安全性|便秘・アトピー・摂取量・FODMAP・血糖値
要点
- アトピー目的は推奨しません。 ラフィノース単体でアトピー性皮膚炎が改善すると断言できる質の高いヒト研究は見当たりません。主要ガイドラインにも推奨はありません。[1][2][3]
- 便通は「効く人もいる」程度。 腸内のビフィズス菌が増えるという小規模試験はありますが、排便回数や便のかたさを主要目的にした大規模試験は少ないです。[6]
- 主な注意点はお腹のガス・張り・ゆるさ。 ラフィノースは消化されにくく、腸内で発酵してガスが出やすい性質があります。[4]
- 過敏性腸症候群の方は要注意。 少量でも症状が悪化しやすいので、まずは避けるか、医療者に相談を。[8][9]
- 血糖値は上がりにくい。 小腸でほぼ吸収されず、10 g単回摂取の試験で約97%が大腸へ届いたと報告されています。[13] ただし、製品にショ糖(砂糖)が混ざっていれば、その分は血糖に影響します。
- はじめるなら少量から。 目安は1〜2 g/日で様子見→問題なければ3〜5 g/日まで。2〜4週間はガスやお腹の張りをチェック。[7][8][9]
ラフィノースってどんなもの?
ラフィノースは三つの糖がつながったオリゴ糖で、豆類や甜菜(てんさい)に多く含まれます。[4][5] 私たちの小腸にはこの結合を十分に分解する酵素がほとんどないため、そのまま大腸まで届き、腸内細菌のエサになります。[4][13] そのときに短鎖脂肪酸(腸内細菌が作る酸)やガスがつくられるのが特徴です。[4]
血糖値については、純粋なラフィノースだけならほとんど上がりません(小腸でほぼ吸収されず大腸へ届くことがヒト試験で示唆)。[13] 一方で、砂糖が混ざった製品はその分だけ血糖に影響します。
【最重要】アトピー性皮膚炎に効くの?
結論から言うと、ラフィノース単体でアトピーが改善するとは言い切れません。ヒトでの質の高い臨床試験が不足しており、日本皮膚科学会などのガイドラインも、食事由来のプレバイオティクス(腸内細菌のエサになる食品成分)を標準治療としては推奨していません。[1][2]
なお、プロバイオティクス(生きた善玉菌)を用いた治療についても効果は一貫せず、治療としての有効性は不確実とする多くの研究をまとめた信頼性の高い報告があります。[3]
※乳幼児で「ガラクトオリゴ糖やフラクトオリゴ糖など別のプレバイオティクスの混合」を使った研究では、予防に役立ちそうという報告も一部ありますが、ラフィノースそのものの話ではありません。結果も一致していないため、一般的な推奨には至っていません。[3]
便秘・腸内環境にはどう?
腸内のビフィズス菌が増えたという小規模な試験(2 gを1日2回、4週間)があり、腸内環境にはプラスに働く可能性があります。[6] ただし、排便回数・便のかたさ(便の状態)などを主要目的として厳密に評価した大規模試験は少ないため、「効く人もいる」くらいの期待値が現実的です。
副作用と注意点(ここが一番大事)
- ガス・お腹の張り・ゆるさが出やすい……これはラフィノースが小腸で消化されにくく、大腸で発酵しやすい性質によるものです。[4]
- 過敏性腸症候群の方は悪化しやすいので、まずは避けるか、医療者と相談してください。FODMAP(発酵性の小さな糖質)の考え方でも、ラフィノースを含む食品は控える対象に入ります。[8][9]
関連記事:FODMAPの基礎知識|代表食品と1食の上限目安 - 「どれくらいでお腹がゆるくなるの?」という目安データは、ラフィノースそのものでは多くありません。近い性質の大豆由来オリゴ糖の混合での試験では、体重1 kgあたり0.6〜1 gを超えると下痢が増えやすいという推定値があります(成人、一度に摂った場合の目安)。これは混合物での結果なので、ラフィノースそのものにそのまま当てはめることはできませんが、「上げすぎない」ための参考にはなります。[7]
摂り方(ゆっくり・少量・様子見)
- 1〜2 g/日からスタート(小さじ1/3〜1/2程度)。[7]
- 1週間は、ガス・張り・腹痛・下痢が出ないかチェック。[8][9]
- 問題なければ3〜5 g/日まで少しずつ増やす。不快な症状が出たら量を戻すか中止。[7]
- 2〜4週間は、排便の回数・便のかたさもメモして振り返る。
- 過敏性腸症候群やお腹が張りやすい人は、控えるか医療者にまず相談。[8][9]
製品の選び方(ラベルの見方)
- 原材料と栄養成分を確認し、砂糖など他の糖が混ざっていないかをチェック。
- 純度の表示(例:ラフィノース98%以上)があれば安心材料になります。
- 粉末は吸湿しやすくダマになりやすいので、少量の水やヨーグルトに混ぜると使いやすいです。
- 健康表示の読み方:日本で整備されているのは特定保健用食品(いわゆるトクホ)の大豆由来オリゴ糖(ラフィノースとは主成分が異なる)で、ラフィノース単体の基準は示されていません。ラベルの表現はこの違いを踏まえて確認してください。[10]
関連記事:大豆オリゴ糖は便通に良い? 効果、安全性、FODMAPの注意点
よくある質問(FAQ)
アメリカの制度(GRAS)や欧州(EFSA)の公的な意見では、ラフィノース単体の詳細評価は見当たりません(2025年11月時点)。一方でガラクトオリゴ糖など別のオリゴ糖に関する審査・意見は複数あります。つまり、市場に流通していても“制度上の健康主張”は別問題なので、個々の製品ラベルを丁寧に確認することが大切です。[12][11]
特定保健用食品(トクホ)で制度整備されているのは大豆由来オリゴ糖(ラフィノースとは主成分が異なる)です。ラフィノース単体の公的な基準や所要量の設定は示されていません。トクホのマーク=ラフィノース単体の効能保証ではない点にご注意ください。[10]
現時点では勧めません。 ガイドラインは標準治療を中心に組み立てられており、ラフィノースの摂取を標準治療としては推奨していません。[1][2]
純粋なラフィノースなら上がりにくいです(ヒト試験で10 g摂っても約97%が大腸に届いたため、小腸でほぼ吸収されないと考えられます)。[13] ただし、砂糖などが混ざっている製品はその分だけ血糖に影響します。原材料表示をチェックしましょう。
参考文献
- [1] 佐伯秀久, 大矢幸弘, 荒川浩一, 市山進, 勝沼俊雄, 加藤則人, et al. アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2024. 日本皮膚科学会雑誌. 2024;134(11):2741–2843. https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/ADGL2024.pdf
- [2] Chu DK, Schneider L, Asiniwasis RN, Boguniewicz M, De Benedetto A, Ellison K, et al. Atopic dermatitis (eczema) guidelines: 2023 AAAAI/ACAAI Joint Task Force on Practice Parameters GRADE– and Institute of Medicine–based recommendations. Ann Allergy Asthma Immunol. 2024;132(3):274–312. https://doi.org/10.1016/j.anai.2023.11.009
- [3] Makrgeorgou A, Leonardi-Bee J, Bath-Hextall FJ, Murrell DF, Tang MLK, Roberts A, et al. Probiotics for treating eczema. Cochrane Database Syst Rev. 2018;11:CD006135. https://doi.org/10.1002/14651858.CD006135.pub3
- [4] Elango D, Rajendran K, Van der Laan L, Sebastiar S, Raigne J, Thaiparambil NA, et al. Raffinose family oligosaccharides: Friend or foe for human and plant health? Frontiers in Plant Science. 2022;13:829118. https://doi.org/10.3389/fpls.2022.829118
- [5] Sanyal R, Kumar S, Pattanayak A, Kar A, Bishi SK. Optimizing raffinose family oligosaccharides content in plants: A tightrope walk. Frontiers in Plant Science. 2023;14:1134754. https://doi.org/10.3389/fpls.2023.1134754
- [6] Dinoto A, Marques TM, Sakamoto K, Fukiya S, Watanabe J, Ito S, et al. Population dynamics of Bifidobacterium species in human feces during raffinose administration monitored by fluorescence in situ hybridization–flow cytometry. Appl Environ Microbiol. 2006;72(12):7739–7747. https://doi.org/10.1128/AEM.01777-06
- [7] Hata Y, Yamamoto M, Nakajima K. Effects of soybean oligosaccharides on human digestive function and diarrheal threshold in humans. J Clin Biochem Nutr. 1991;10(2):135–144. https://doi.org/10.3164/jcbn.10.135
- [8] Lacy BE, Pimentel M, Brenner DM, Chey WD, Keefer LA, Long MD, et al. ACG Clinical Guideline: Management of Irritable Bowel Syndrome. Am J Gastroenterol. 2021;116(1):17–44. https://doi.org/10.14309/ajg.0000000000001036
- [9] Halmos EP, Power VA, Shepherd SJ, Gibson PR, Muir JG. A diet low in FODMAPs reduces symptoms of irritable bowel syndrome. Gastroenterology. 2014;146(1):67–75.e5. https://doi.org/10.1053/j.gastro.2013.09.046
- [10] 消費者庁. 特定保健用食品(規格基準型)の関与成分ごとの有効性評価試験の要件等(別添3:大豆オリゴ糖 等). https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_for_specified_health_uses/pdf/tokuhyo_01.pdf
- [11] EFSA NDA Panel. Safety of the extension of use of galacto-oligosaccharides as a Novel Food. EFSA Journal. 2021;19(10):e06844. https://doi.org/10.2903/j.efsa.2021.6844
- [12] U.S. Food and Drug Administration. GRAS Notice Inventory. https://www.fda.gov/food/generally-recognized-safe-gras/gras-notice-inventory
- [13] Shimaya S, Shimoyama T, Fukuda S, Matsuzaka M, Takahashi I, Umeda T, et al. The recovery rate at the human terminal ileum of an orally administered non-digestive oligosaccharide (raffinose). Int J Food Sci Nutr. 2009;60(4):344–351. https://doi.org/10.1080/09637480801990454

